剣術は、日本の伝統的な武道の一つであり、古くから武士たちによって磨かれてきた技術と精神性を象徴しています。
剣術の世界には、技術や動作を表す多くの専門用語が存在し、それぞれが深い意味と歴史を持っています。
これらの用語を理解することで、剣術の奥深さやその背景にある哲学をより深く知ることができます。
剣術の訓練は、単なる体力や技術の鍛錬だけではなく、心の修養や礼儀作法の重要性も強調されます。
これは、剣術が単なる戦闘技術ではなく、人間としての成長を目指す道であることを示しています。
剣術の用語を学ぶことで、その技術や動作の意味だけでなく、それに込められた精神性や歴史的背景を理解することができます。
以下に、剣術における用語を辞書式に紹介します。
これらの用語は、剣術の基本から応用まで幅広い範囲をカバーしており、それぞれが重要な役割を果たしています。
剣術の世界をより深く知るための一助となれば幸いです。
あ行
あ
-
愛刀(あいとう) 自分の愛用している刀。
-
足払い(あしばらい) 敵の足を狙って払う技。
-
足運び(あしはこび) 正しい足の運び方。剣術において非常に重要。
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合戦(あわせ) 剣を交えての戦い。
い
-
居合(いあい) 刀を鞘から抜いてすぐに斬る技。
-
居合道(いあいどう) 居合の技術と精神を鍛える武道。
- 勢い(いきおい) 攻撃の力強さや速度。
-
一本足(いっぽんあし) 片足で立ちながら攻撃する技術。
-
一刀流(いっとうりゅう) 一刀を使用する剣術流派。
う
- 打刀(うちがたな) 日本刀の一種で、鞘からすぐに抜き打ちできるように設計されたもの。
-
打ち込み(うちこみ) 相手を打ち込む攻撃。
-
打太刀(うちたち) 実践稽古において打ち込む役をする者。
-
裏(うら) 表の反対側。剣術においては、裏技、裏手などの意味。
-
受け流し(うけながし) 相手の攻撃を受けて流す防御技。
- 運足(うんそく) 足の運び方。移動や立ち位置を指導する技術。
え
-
柄(え) 刀の握る部分。
-
得物(えもの) 武器の総称。特に剣や刀。
お
-
大太刀(おおたち) 長い刀。
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大上段(おおじょうだん) 頭上に大きく構える姿勢。
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追撃(おいげき) 逃げる敵を追いかけて攻撃すること。
- 応戦(おうせん) 相手の攻撃に対して防御しながら反撃すること。
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応用技(おうようぎ) 基本技を応用して発展させた技。
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押し切り(おしきり) 相手を押し込んで斬りつける技。
-
奥義(おうぎ) 極意とも言われる、流派や技の最も深い部分。
- 折り返し(おりかえし) 技を途中で折り返して反対の動きをすること。
か行
か
-
構え(かまえ) 剣を構える姿勢や姿勢の種類。
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鍛錬(かんれん) 剣術の技術や精神を磨くための訓練。
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懐剣(かいけん) 小型の刀。懐に忍ばせておくための剣。
き
-
気合(きあい) 精神を集中させて発する声や息。
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切っ先(きっさき) 刀の先端部分。
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斬り上げ(きりあげ) 下から上へ斬り上げる技。
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切り返し(きりかえし) 攻撃の後にすぐに反撃する技術。
-
切り下ろし(きりおろし) 上から下へ切りつける動作。
- 切り捨て御免(きりすてごめん) 武士が自分や他人の名誉を守るために、無礼な者を切り捨てる権利。
-
切り払い(きりはらい) 刀を横に払うようにして切る技。
く
-
九字(くじ) 忍術や剣術で用いられる魔除けや祈願の符号。
-
工夫(くふう) 技や戦術を改良し、より効果的にすること。
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屈身(くっしん) 身体を低くして攻撃や防御を行う姿勢。
け
-
警策(けいさく) 修行中の者に気を引き締めさせるための道具。
- 気配(けはい) 相手の動きを予測し感じ取る能力。
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剣技(けんぎ) 剣を使った技や技術全般。
-
剣道(けんどう) 剣術の技と精神を学ぶ現代の武道。
-
剣術(けんじゅつ) 刀を使った戦闘技術や流派の総称。
こ
-
小太刀(こだち) 短い刀。主に副刀として使用される。
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小手(こて) 剣道の防具の一つで、手首と前腕を守る部分。
- 古流(こりゅう) 江戸時代以前から伝わる伝統的な剣術の流派。
ぎ
- 義太夫(ぎだゆう) 剣劇で使われる語りや音楽の一種。
- 逆手(ぎゃくて) 刀を逆手に持つこと。
ぐ
- 軍配(ぐんばい) 戦国時代に用いられた指揮用の扇。
げ
- 外見(げけん) 剣術の技や動作を外から観察すること。
ご
- 御家流(ごけりゅう) ある家系や流派に伝わる独自の剣術。
- 護身(ごしん) 自分を守るための技術や戦術。
さ行
さ
-
左右打ち(さゆううち) 左右から交互に打ち込む技。
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先手(せんて) 相手よりも先に攻撃を仕掛けること。
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三尺(さんしゃく) 刀の長さの単位。約90センチメートル。
し
- 仕掛け(しかけ) 攻撃を開始すること。
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試斬(しざん) 刀の切れ味や剣技を試すための実践。
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仕太刀(したち) 打太刀に対して技を仕掛ける側。
- 竹刀(しない) 剣道で使用される竹製の刀。
- 忍び(しのび) 忍者や隠密活動を行う者。
- 習得(しゅうとく) 技や技術を学び身につけること。
-
受け流し(しゅけながし) 相手の攻撃を受け流す防御技術。
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尻尾切り(しっぽぎり) 相手の足元を狙って斬りつける技。
- 真剣(しんけん) 実際の刀。稽古用ではなく実戦用の鋭い刃を持つ刀。
す
- 水月(すいげつ) 剣術における急所の一つ。腹部の中心あたり。
- 水平打ち(すいへいうち) 水平に打ち込む技。
-
素振り(すぶり) 実際の戦闘を想定して行う基本的な振りの練習。
-
寸止め(すんどめ) 攻撃を寸前で止める技術。実戦練習で使用。
せ
-
正眼(せいがん) 刀を前に構え、正面を向く基本姿勢。
そ
-
側面打ち(そくめんうち) 相手の側面を狙って打ち込む技。
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添え打ち(そえうち) 他の技と組み合わせて打ち込む技。
ざ
- 座り技(ざりわざ) 座った状態から行う技。
- 残心(ざんしん) 攻撃後も警戒心を保ち続けること。
- 斬撃(ざんげき) 刀で相手を切りつける攻撃。
じ
- 地稽古(じけいこ) 基本的な技の練習。
-
地流し(じながし) 地面を掃うようにして攻撃を受け流す技術。
-
示現流(じげんりゅう) 鹿児島県発祥の剣術流派。素早く力強い斬撃が特徴。
ず
- 図解(ずかい) 技や動作を図で説明すること。
ぜ
- 善光流(ぜんこうりゅう) 近畿地方に伝わる剣術流派。
- 前屈立ち(ぜんくつだち) 前足を曲げ、後ろ足を伸ばして立つ姿勢。
ぞ
-
造反(ぞうはん) 剣術における反逆行為。
た行
た
-
体捌き(たいさばき) 身体の動きを使って攻撃や防御を行う技術。
-
太刀(たち) 長い刀。主に戦場で使用される。
-
太刀打ち(たちうち) 刀を使った戦い。
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立ち回り(たちまわり) 剣劇などでの動きや戦闘シーン。
-
棚斬り(たなぎり) 高い位置からの斬撃。
ち
-
力試し(ちからためし) 技や力の試験。
- 地摺り足(ちずりあし) 足を地面に擦り付けるようにして移動する技術。
- 千鳥足(ちどりあし) 不規則な歩き方。敵の攻撃をかわすために使用。
つ
-
突き(つき) 刀を直線的に突き出して攻撃する技。
- 突き当たり(つきあたり) 突きの攻撃が相手に命中すること。
-
突き返し(つきかえし) 突きを防ぎ、反撃する技術。
-
鞘(つば) 刀を収めるための鞘。
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鍔(つば) 刀の柄と刃の間にある円盤状の部分。
て
-
手合わせ(てあわせ) 実戦形式の練習。
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手元(てもと) 刀を握る部分。
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手刀(てがたな) 手を刀のように使って攻撃する技。
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天心流(てんしんりゅう) 日本の古武道の一つで、実戦的な技術を重視する流派。
と
- 止め(とめ) 攻撃を止める技術。
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留め(とめ) 技を止めること。特定の技術を完了させる動作。
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留め技(とめわざ) 相手の攻撃を防いで止める技術。
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飛び込み(とびこみ) 相手に向かって飛び込むようにして攻撃する技。
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飛び道具(とびどうぐ) 投げたり発射したりする武器。
- 頓死(とんし) 突然の死を意味し、剣術においては一撃で相手を倒すことを示す。
づ
- 面打ち(づらうち) 相手の顔面を狙って打つ技。
で
- 手斧(でおの) 小型の斧。剣術や戦闘で補助的に使用。
ど
-
胴(どう) 剣道や甲冑の胸部を守る部分。
- 胴打ち(どううち) 胴体を狙って打ち込む技。
- 胴切り(どうぎり) 胴体を狙って斬る技。
-
道場(どうじょう) 武道の稽古を行う場所。
- 胴体(どうたい) 身体の中心部分。剣術では主要な攻撃対象。
- 胴抜き(どうぬき) 相手の胴体を斬り抜ける技。
な行
な
-
流れ(ながれ) 技や動作の連続的な流れ。戦闘中のスムーズな動き。
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長刀(ながたち) 長い刀。特に戦場で使用される。
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鍋蓋(なべぶた) 防具として使用される盾の一種。
に
- 二重構え(にじゅうがまえ) 一度に二つの構えを取る技術。
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二刀流(にとうりゅう) 両手に一振りずつ刀を持ち戦う技術。宮本武蔵が有名。
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日輪(にちりん) 太陽の円形を模した防具や紋章。
ぬ
- 縫い付け(ぬいつけ) 防具や衣装に使用される技術。
-
抜き打ち(ぬきうち) 鞘から刀を抜いてそのまま攻撃する技。
ね
-
寝技(ねわざ) 地面に倒れた状態で行う技術。
- 念入り(ねんいり) 細かい部分まで注意を払って行うこと。
の
- 納刀(のうとう) 刀を鞘に納める動作。
-
野試合(のじあい) 実際の戦場で行われる試合。
-
乗り込み(のりこみ) 相手に近づいて攻撃する技。
は行
は
-
袴(はかま) 剣道やその他の武道で着用する伝統的なズボン。
-
斜め切り(はすきり) 斜めに斬りつける技。
- 破綻(はたん) 技や戦略が崩れること。
- 掃い(はらい) 相手の攻撃を払いのける技術。
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腹打ち(はらうち) 相手の腹部を狙って打つ技。
- 半身(はんしん) 体を半分に捻って構える姿勢。
ひ
- 秘剣(ひけん) 特定の流派や一門にのみ伝えられる秘密の技。
-
必勝(ひっしょう) 必ず勝つという信念。
- 膝行(ひざばい) 膝を使って移動する技術。
ふ
- 振り落とし(ふりおとし) 上から下へ力強く打ち下ろす技。
-
振りかぶり(ふりかぶり) 刀を大きく振り上げる動作。
へ
-
柄(へ) 刀の握る部分。
-
平行打ち(へいこううち) 刀を平行に振って打ち込む技。
-
平突き(へいづき) 平行に突き出す攻撃技。
ほ
-
法眼(ほうげん) 戦術や技術を伝えるための基本的な教え。
-
本打ち(ほんうち) 実際の戦闘で使用する打ち方。
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本太刀(ほんだち) 主力として使用する刀。
ば
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場(ば) 戦闘や稽古が行われる場所。
- 馬打ち(ばうち) 馬に乗っている敵を攻撃する技。
- 抜刀(ばっとう) 刀を鞘から抜いて攻撃する動作。
- 抜刀術(ばっとうじゅつ) 刀を抜いてすぐに斬る技術。
-
馬上(ばじょう) 馬の上で戦うこと。
び
-
美技(びぎ) 美しく見せる技術。
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火の玉(びのたま) 怒りや闘志の象徴。
ぶ
- 武士(ぶし) 武道を生業とする人々。
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武士道(ぶしどう) 武士の生き方や精神を指す概念。
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武術(ぶじゅつ) 武器を使った戦闘技術の総称。
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武道(ぶどう) 武術を精神的な修養として捉えるもの。
べ
- 弁慶(べんけい) 日本の伝説的な僧兵。
ぼ
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防御(ぼうぎょ) 攻撃から身を守る技術。
-
防具(ぼうぐ) 身体を守るための装備。
-
木剣(ぼっけん) 木製の剣。稽古で使用される。
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棒術(ぼうじゅつ) 棒を使った戦闘技術。
ま行
ま
- 間合い(まい) 相手との距離。攻撃や防御をするための適切な距離感。
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巻き込み(まきこみ) 刀を巻き込むようにして攻撃する技。
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守り刀(まもりがたな) 家や個人を守るために持つ刀。
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真柄(まがら) 刀の柄の形状や構造。
み
-
見切り(みきり) 相手の動きを見極める技術。先を読む能力。
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三つ巴(みつどもえ) 三者が入り乱れて戦う状況。またはその戦術。
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身構え(みがまえ) 戦闘に入る前の姿勢や心構え。
む
- 無双(むそう) 比類なき強さを持つこと。最強の状態。
- 無双直伝(むそうじきでん) 直接伝授される技や教え。
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無刀流(むとうりゅう) 刀を持たずに戦う技術や流派。
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無念無想(むねんむそう) 心を無にして雑念を取り払う精神状態。
め
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目付け(めつけ) 相手の動きを視線で追うこと。観察力。
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目付け(めつけ) 視線を用いて相手の動きを読む技術。
-
面打ち(めんうち) 剣道において、相手の面を狙って打つ技。
- 免許皆伝(めんきょかいでん) 流派の全ての技と教えを習得し、その証として授与される免許。
も
-
物打ち(ものうち) 刀の刃の中央部分。最も切れ味が良いとされる部分。
-
持ち手(もちて) 刀の柄を握る部分。
-
元立ち(もとだち) 稽古において受け手となる役割の人。
- 門下生(もんかせい) ある師匠や流派に属する弟子。
や行
や
-
矢面(やおもて) 敵の正面に立つこと。直接の攻撃を受ける位置。
- 役立ち(やくだち) 剣術の技や知識が実際の戦闘や日常生活で役立つこと。
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矢継ぎ(やつぎ) 次々に攻撃を仕掛けること。
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矢返し(やがえし) 相手の攻撃を受けてすぐに反撃する技術。
-
矢場(やば) 弓矢の練習場だが、比喩的に剣術の稽古場を指すこともある。
ゆ
-
勇気(ゆうき) 恐れずに立ち向かう精神。
- 有効打(ゆうこうだ) 試合や稽古で認められる有効な打撃。
- 夕刻(ゆうこく) 夕方の時間帯。剣術の稽古や試合が行われる時間帯の一つ。
-
有段者(ゆうだんしゃ) 剣術などの武道で段位を持つ者。
よ
- 容赦(ようしゃ) 相手に対して情けをかけること。逆に、情けをかけずに全力で挑む意味でも使われる。
- 用心(ようじん) 警戒心を持ち、注意を払うこと。
- 寄せ(よせ) 相手に近づいて攻撃する技術。
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余技(よぎ) 主たる技術に対して補助的な技。
- 予備動作(よびどうさ) 技を繰り出す前の準備動作。
ら行
ら
- 乱戦(らんせん) 多人数が入り乱れて戦うこと。
-
乱打(らんだ) 無秩序に打ち合うこと。複数の攻撃を一度に繰り出すこと。
-
乱取り(らんどり) 実戦形式の自由稽古。
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乱刃(らんば) 刃こぼれや破損がある刀。
り
- 理合(りあい) 技や動作の理論的な説明や根拠。
- 流派(りゅうは) 剣術や武道の特定の系統やスタイル。
る
-
類(るい) 技や技術のカテゴリーや種類。
れ
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礼法(れいほう) 剣術や武道における礼儀作法。
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連携(れんけい) 複数の技や動作を連続して行うこと。
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練習(れんしゅう) 技術や技を習得するための訓練。
- 練達(れんたつ) 技術が優れ、熟練していること。
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連続技(れんぞくわざ) 複数の技を連続して繰り出すこと。
ろ
- 浪人(ろうにん) 主君を失った武士。
- 籠手(ろくて) 手首や前腕を守るための防具。
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炉刀(ろとう) 火を通して鍛えた刀。
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六法(ろっぽう) 剣術や武道における六つの基本的な法則や技術。
わ行
わ
- 輪打ち(わうち) 相手の防御を崩すために円を描くようにして打ち込む技。
- 脇構え(わきがまえ) 刀を腰の脇に構える姿勢。防御と攻撃の両方に使える構え。
- 割り込み(わりこみ) 相手の攻撃の隙間に入り込んで攻撃する技術。
- 割れ目(われめ) 刀の刃の割れた部分や欠けた部分。刀の状態を示す用語。
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割腹(わっぷく) 刀を使って腹を切る行為。主に武士が切腹を行う際に使われる。
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和合(わごう) 心を一つにし、調和を図ること。特に剣術においては、稽古仲間との協調を指す。
終わりに
剣術の用語は、その技術や動作の理解を深めるだけでなく、剣術の精神や歴史を知る手がかりとなります。
これらの用語を学ぶことで、剣術が単なる戦闘技術ではなく、心身の鍛錬と人間的成長を目指す道であることが理解できます。
現代においても、剣術は多くの人々に愛され続けており、その教えは日常生活や仕事にも活かされています。
剣術の用語を知ることで、剣術の深遠な世界をより深く楽しむことができるでしょう。
これからも剣術の学びを続け、その奥深さを探求していきましょう。
剣術の技術と精神を理解し、自身の成長に役立てることで、剣術の本質を体得することができるでしょう。