剣道用語集

目次

剣道用語集

 

 

メン!ドウ!コテ!

剣道は、フェンシングと同様に剣術を模した競技で

スタイルは日本の剣術で、刀を模した竹刀を用いて行います

 

日本では中学の部活にも採用されている剣道ですが

日本人でもルールや技の名前や剣道に使われる用語を知っている人は少ないです

 

ここでは、剣道の基本的な用語をまとめてご紹介します

日本の伝統文化に触れてみたい人やこれから剣道を始めようという方は

ぜひこのページの剣道用語集で、剣道について学んでいってくださいね

 

あ行

 

相打ち(あいうち)

一般的に用いられる相打ちと同じ意味です

試合や稽古で同時に同じ有効な打突を行った場合、双方とも有効な打突とはみなされません。

 

相い構え(あいいがまえ)

相手と同じ構えをとることで、相中段や相上段において行われます。

剣道は駆け引きが重要な競技。勝つためには頭を使おう!

 

合気(あいき)

双方の攻防の気が同時になり、勝敗がつかない状態を指します。

また、合気をはずすと、双方の攻防の気が同時になり、勝敗がつかない場合に、それまでの戦法を変えて攻めることを指します。

(日本の古流武術の合気とは違います)

 

相抜け(あいぬけ)

お互いに争う気がない場合や当たることもないことを示します。

剣道の試合は全力で挑んでください。

 

阿吽(あうん)の呼吸

相手と呼吸を合わせることを指し、阿は呼気、吽は吸気を象徴し、万物の資源と究極を表現しています。

 

上げ小手(あげこて)

相手が上段に構えようと手元を上げたところを打つ技で、打突時に左拳が鳩尾より上がっている場合を指します。

これは普通に模擬小手とも呼ばれ、左小手が有効打突とされる規定の改正により、「上げ小手」が特に明記されました。

 

足がらみ

相手に足をかけたりからませることを指し、試合では反則とされます。

かつては稽古で盛んに行われ、一つの技と考えられていました。

 

足捌き(あしさばき)

剣道における、足の移動方法(フットワーク)のことです

歩み足・送り足・開き足・継ぎ足などの種類があり、これらは相手との距離調整や攻撃の際に使用されます。

 

余す(あます)

相手の攻撃を巧みにかわし、後方の体を捌いて攻撃を抜くことを指します。

 

歩み足(あゆみあし)

日常生活の歩行と同じように、交互に足を前に出す足運びであり、相手との距離調整に利用されます。

 

一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)

剣道修行の要素を示し、一眼は相手の思考動作を見破る眼力、二足は技の根本である足の使い方、三胆は胆力と決断力、四力は技術の力を指します。

 

一足一刀の間(いっそくいっとうのま)

通常、剣先が触れるか触れないかという距離感を指します。これは、一歩前進すれば相手に打突を与え、一歩後退すれば相手の打突をかわすことのできる間合いを意味しています。

これよりも距離が近い場合を近間、遠い場合を遠間と呼びます。

ただし、この距離感は個人の体力、体型、筋力、剣道の習熟度によって一概に規定できません。

稽古を通じて、この間合いの感覚を磨いていきましょう。

 

居付く(いつく)

攻防の途中で一時的に動けない状態や、気持ちが一時的に止まって瞬間的な動作ができない状態を指します。

たとえば、竹刀を握りしめすぎてしまったり、体の重心が後ろに傾いて前に進めなくなったような状態が居付きと言われます。

 

一刀流(いっとうりゅう)

主に一本の刀を使用する流儀であり、小野派一刀流や北辰一刀流などがあります。

 

「いなす」という言葉

相手の打突を受け流しながら、同時に相手の体勢を崩すことを指します。

 

色(いろ)

虚実の虚を意味します。相手に隙がない場合に、自分の動きから虚を見せて相手を誘い込むことを指します。

例えば、相手に面を打つつもりを示し、相手がそれを防ごうとして手元を上げた瞬間に小手を打つ技などがあります。

 

陰(いん)

陽に対する語で、表に対する裏を指します。体の右側を指す場合もあります。

 

打ち込み稽古

あらかじめ打ち込む部位を決めておき、相手の隙間に打撃を加える基本的な稽古法です。

剣道の基本的な稽古となります

 

打ち込み十徳(うちこみじゅっとく)

以下の10の徳を指します:

  1. 動きが激しく早くなること。
  2. 打撃が強くなること。
  3. 息合いが長くなること。
  4. 腕の動きが自由になること。
  5. 身体が軽く自在になること。
  6. 寸長の太刀を自由に扱えること。
  7. 臍下がまり、体が崩れないこと。
  8. 眼が明らかになること。
  9. 打ちの間が明らかになること。
  10. 手の内が軽く冴え出ること。

 

遠山の目付(えんざんのめつけ)

相手と対峙した際に、相手の竹刀や打突部など一カ所だけを見つめず、遠くの山を望むように、相手の顔を中心に体全体を広く見るようにする教えです。

 

応じ技

相手の仕掛けてくる技に対して、「すりあげる」「返す」「抜く」「打ち落とす」などの手法を使って、相手の攻撃を無効にし、同時にできた隙を利用して打撃を加える技のことを指します。

 

送り足(おくりあし)

最も基本的な足運びで、進行する方向の足から動きを始め、次に他方の足を動かして進む足に引き寄せる動きです。

初心者は送り足から足さばきを学びましょう

 

帯の矩(おびのかね)

相手の目を見ていると相手に心の内を読まれる危険がある場合、相手の帯のあたりを見るようにする教えです。

相手が目を見ていると自分の心が読まれることが難しく、果敢な攻撃が難しくなるとされています。「脇目付」などとも言います。

 

表と裏(おもてとうら)

中段に構えた際、自分の竹刀の左側を自分の表、右側を自分の裏と呼びます。

この言い回しは、刀を腰に差したときに体に密着する方が裏で、外側になる方が表であることに由来しています。

 

 

か行

 

返し技

相手が打ち込んでくる竹刀に応じて、自分の手首を返し、応じた竹刀の反対側を打つ技です。

中級者以上になると当然身に着けている技術。稽古してできるようになろう!

 

掛かり稽古(かかりけいこ)

相手からの攻撃やいなしに縛られず、自分の意志で十分な気力と体力をもって、様々な技を繰り出す稽古です。

元立ちは優れた打撃を促進し、無理な攻撃や効果の薄い打撃を避け、正確な打撃と気力を身につけるようにします。

掛かり稽古には、敏捷性と持久力の向上、手の内と手の返しの向上、正しい間合いの理解、打つべき機会の把握などの効果があります。

 

かけ声

剣道において大きな声を出すことで自己を鼓舞し、気勢を高め、恐怖を払拭し、攻撃に出ることができます。

また、相手に驚きや恐れを与え、無心状態にすることで心気力の一致を促し、打突の瞬間に声を出すことで迅速で強く冴えた打撃が可能になります。

 

活人剣(かつにんけん)

敵を掬わずに勝つことを指し、新陰流ではあらゆる術理の基本とされています。

 

香取・鹿島(かとり・かしま)

香取神宮と鹿島神宮のことで、いずれも武神を祭る神社として尊崇され、武の発祥の地とされています。

 

下部の三処(かぶのさんしょ)

足の運び、特に足と腰と膝の裏側のひかがみの使い方の重要性を示す言葉です。

 

構え(かまえ)

中段の構えが「常の構え」や「正眼の構え」と呼ばれ、攻防に最も都合がよく、理想的な構えとされます。

竹刀を相手の中心に向け、自然な体勢から右足を前に出し、左足をへその前に置き、握り拳をひとつ分ぐらい前に出します。

 

下段の構え

「守りの構え」とされ、八方の敵に応じることができる構えとされます。

竹刀を中段の構えから下げ、剣先を延長線が相手の両膝の中間に向けるようにします。

 

上段の構え(じょうだんのかまえ)

「火の構え」とも呼ばれ、最も攻撃的な構えです。

この構えでは、相手の技の発端を頭一つで制御し、攻撃的な気持ちで竹刀を構えます。

中段の構えから竹刀を頭上に上げ、両腕が顔の前で三角形を作るようにします。左上段と右上段の双手と片手があります。

 

脇構え(わきがまえ)

「陽の構え」とも呼ばれ、相手の動きに応じて竹刀を使い分けることができる構えです。

中段の構えから右足を一歩引き、手元を右脇に引き寄せ竹刀の先を水平よりやや下げ、剣先を身体にかくして相手に見えないようにします。

 

八相の構え(はっそうのかまえ)

「陰の構え」とも呼ばれ、自ら攻撃を仕掛けるのではなく、相手の出方によって攻撃に移る構えです。

中段の構えから左足を一歩踏み出し、左拳を右乳頭部の前に、右拳を口元の高さにします。抜いた刀と鞘が八の字を描くため、「八相」と呼ばれます。

瞬時に八方の敵に対応できるため、「発早」とも言われる。

 

上座(かみざ)

道場での上座であり、神棚が置かれている場合、正面の中央が「正中」と呼ばれ、最も尊い位置とされます。

左が上位で右がその次になり、座る方向は中国の伝統に基づき、南を向いて座り、東が上位で西が下位になります。

 

観見の目付(かんけんのめつけ)

洞察力と物理的な動きを見る目を指します。相手の目を見ることが大切で、「目は心の鏡」とされ、相手の心の状態が分かります。

目を見ることで相手の全体像も見え、心で相手を見ることの重要性が強調されています。

 

気合い(きあい)

全身に気力を充満させ、集中し、注意を備えた状態で事に当たることを指します。

気合いには有声と無声の二つがあり、どちらも相手に隙を与えず、即座に攻撃できる状態でなければなりません。

気合いは剣道において非常に重要であり、気合いの充実した状態が相手に勝つ上で不可欠です。

普段の生活から気合を高めましょう。

 

気当たり(きあたり)

立ち会いにおいて相手に活気を発し、相手の当たりや反応を見ることを指します。

現実の世界では、漫画みたいに気当たりだけで相手を倒せませんよ!

 

気位(きぐらい)

多年にわたる修養鍛錬や技の修練の結果、自分に備わった侵しがたい気品を指します。

 

気剣体の一致(きけんたいのいっち)

打突の基準で、「気」は打突の意志とそれを表現する気勢や掛け声、「剣」は正しい竹刀操作、「体」は体さばきや姿勢、足と腰の入った動きを指します。

これらが同時に満たされていることが有効打突の条件です。心気力の一致とは異なります。

 

機前(きぜん)

相手の一念が発する以前に機先を制して、相手の気勢をくじくことを指します。

 

気づくり

立ち会いの前の段階で気持ちを整えていくことを意味します。

武道史上の名勝負は、立ち会い以前に勝負がついていたと言われることがあります。

 

技癖(ぎへき)

各人が持つ技術上の癖であり、これは上達を妨げる原因となります。

技癖を直すことは、正しい技術を理解し、体得するために重要です。

 

切り返し(きりかえし)

正面打ち→体当たり→連続左右面→正面打ちを通常2回繰り返す剣道の総合的な稽古法です。

切り返し五則は、

①大きく正しく

②正しい間合いを守る

③左手の拳は常に体の中心にあって右手は伸ばす

④体で調子をとってはいけない

⑤太刀の返りを利用して打つ、という原則です。

 

切り返し八徳(きりかえしはっとく)

以下の八つの徳を備えた剣道の稽古法です

  1. 気剣体一致の打ちになる
  2. 無駄な力をなくし技の悪い癖を直す
  3. 正しい姿勢がとれる
  4. 耐久力ができ気息が長くなる
  5. 目が明るく間合いを覚える
  6. 体力が増進し足腰を強くする
  7. 気力が旺盛になる
  8. 太刀の返りがよくなる

 

虚実(きょじつ)

相手の守りの弱い状態(虚)と強い状態(実)を指し、実を避けて虚を打つことが重要です。

相手の虚実は攻め方によっても変化し、その変わり目を見極めて打つことが重要です。

 

組み討ち(くみうち)

現代の剣道では禁止されているが、かつては相手に竹刀を落とされたりつばぜり合いなどの際に足がらみや組み討ちが行われた。

 

組太刀(くみたち)

師が弟子に相手に勝つためのさまざまな方法を教育するために組まれた形です。

 

稽古(けいこ)

日本の伝統的な武道や芸道の練習方法で、古いものを振り返ることを意味します。

(難しい言い方をしましたが、簡単に言えば他の競技におけるトレーニングと同じです)

 

剣心一如(けんしんいちにょ)

「剣は人なり、剣は心なり」といわれるように、剣は心によって動くものであり、剣と心とは一元的なものであることを表します。

剣の修行を通じて正しい心を磨くとされています。

 

剣道の理念(けんどうのりねん)

「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」と定義されています。

 

剣の五徳(けんのごとく)

正義、廉恥、勇武、礼節、謙譲(けんじょう)を表しています。

 

剣道形(けんどうがた)

各流派の卓越な技をまとめ、剣道の技術の中で最も基本的な打撃法を組み立てたものです。

礼儀、構え、間合い、攻撃、打撃、気合い、残心など、これらは全ての技とも言えるものであり、非常に高度なものです。

初心者はもちろん、上級者も常に形の稽古を行うことが重要です。形の効果として以下が挙げられます

  • 正しい姿勢と落ち着いた態度の習得
  • 明るい目で相手を観察する能力
  • 悪い癖の改善と正確な太刀筋
  • 気合いの鍛練と充実した気迫
  • 機敏かつ軽快な動作
  • 適切な間合いの理解
  • 確実な打撃の実現

剣道修練の心構え(けんどうしゅぎょうのこころがまえ)

「剣道を正しく真剣に学び、心身を錬磨して、旺盛なる気力を養い、剣道の特性を通じて、礼節を尊び、信義を重んじ、誠を尽くして、常に自己の修養に努め、もって、国家社会を愛して、広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである」です。

 

剣道修行の目的

剣の理法の修練を通じて人間形成を図り、心身を鍛えて優れた精神、頑強な身体、高貴な人格を培うことです。

 

剣道の理念

「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」です。

人格形成が剣道における道!稽古に励んで精神を鍛えましょう。

 

懸待一致(けんたいいっち)

「攻めることばかりに専念しても、備えることばかりに専念しても隙が生じてしまう。

だから、旺盛な気力とともに、懸かるところに待つ心、待つところに懸かる心がなければならない」という教えであり、「攻防一致」とも言います。

 

「剣は心なり」(けんはこころなり)

剣は人そのものであり、心が正しくなければ剣も正しくないという言葉で、剣を学ぶにはまず心を正すことが大切であると説かれています。

 

剣を踏む(けんをふむ)

宮本武蔵の「五輪の書」に由来する言葉で、相手の打ち出す剣を足で踏みつける心構えで、機先を制することを指します。

この際、気で制し、体で制し、剣で制して相手の剣先を制することが鍵となります。

 

合議(ごうぎ)

審判員が試合者の反則を発見したり、疑義が生じたときにお互いに相談することを指します。

 

交剣知愛(こうけんちあい)

剣を交えて愛しむことを知るという意味を持ちます。

剣道は単に竹の棒で相互に打ち合うものではなく、稽古を共にすることでお互いに尊重し合い、成長し合う精神を表しています。

 

狐疑心(こぎしん)

狐が疑念深い動物で、逃げ場に困り迷子になってしまうことがあり、そのような状態を指しています。

剣道においては、進退の決心がつかず疑念が生じることを戒め、堂々とした態度と心の決意を持つように促しています。

 

さ行

 

冴え

技術的な優れた動作を指し、「技に冴えがある」「冴えのある打ち」と称されます。

この冴えた動作は、合理的で無駄のない状態を表し、科学的にエネルギーが最も有効に使われた動作を感覚的に表現した言葉です。

従って、無駄な打ちや不必要な所作が多ければ、決して冴えているとは言えません。

構えている際は力を抜き、打突の瞬間に必要な筋肉を緊張させ、気剣体の一致した動作が求められます。

 

提刀の姿勢

腕を伸ばし、刀や木刀・竹刀を左手に持ち、立礼をするときの姿勢を指します。

 

刺し面

左手で竹刀の柄頭を繰り出し、右手で竹刀を相手の頭上に乗せるようにして打つ技です。

 

三角矩の構え

中段の構えで眼、腹、剣先の三角形の矩を崩さないように構えることを意味します。

この教えは山岡鉄舟によって考案されました。

 

三功一致

相手を攻める技を出すために必要な三つの道具(切先、身体、気合)が一致することが重要であり、これは錬磨によってのみ得られるものです。

 

三殺法

「気を殺す」、「竹刀・太刀を殺す」、「技を殺す」の三つの要素を指します。

気を殺すとは、充実した気力を持って相手の気を崩して攻めることを指し、竹刀を殺すとは相手の竹刀を制御し、技を殺すとは相手の動きに先んじて攻撃の機会を与えないことを指します。

千葉周作はこれを「三つの挫き」と表現しています。

 

残心

相手を打突した後も気持ちを緩めず、油断せず、変化に素早く対応できる心構えを指します。

通常、これは打突の後に中段の構えにもどり、相手に正対することを意味します。

 

三磨の位(さんまのくらい)

剣道において「習い」「稽古」「工夫」の三つの要素が重要であり、これらを統合的に磨き上げることを指します。

 

直心是道場(じきしんこれどうじょう)

純一無雑な素直な心で剣道を学び、剣道以外の日常生活の出来事にも剣道の視点で考え、いかなる状況でも剣道から離れずに修行することを意味します。

 

四戒(しかい)

剣道の四つの戒めであり、「驚」「懼」「疑」「惑」を指します。

驚は突然の予期せぬ事態に動揺し、懼は恐怖による心身の硬直、疑は疑念による注意力の停滞、そして惑は混乱により正確な判断と動作が妨げられることを示します。

これらの心の乱れを避けるために修行が必要です。

 

しかけ技

相手が打突の動作を起こす前に自ら中心を攻めたり、相手の隙を見つけつつ打ち込む技です。

 

地稽古(じげいこ)

お互いに気力を充実させた技を積極的に出し合い、互いに鍛錬し合う総合的な稽古法です。

 

止心(ししん)

注意が一つのものに停まってしまう状態を指し、「居つく」とも言い、相手から打突されやすい心の状態です。

 

撓競技(しないきょうぎ)

戦後GHQにより剣道が禁止された時期において、笹森順造らが提案したフェンシングに似たスポーツ形式の競技を行い、GHQの許可を得て昭和25年に全日本撓競技連盟を結成したものです。

昭和27年には全日本剣道連盟が創設されましたが、昭和30年代初頭まで行われていました。

 

鎬(しのぎ)

刀の峯(みね)・棟(むね)から刃に向かっていく面で一段高くなっている稜線を指します。

峯も棟も同じ場所を指し、刃の反対側です。これは時代劇で「みね打ち」などと表現され、刃の反対側で打つことを意味します。

ちなみに、剣道で使う竹刀ではみね打ちはできません

 

守破離(しゅはり)

修練の過程を示した言葉であり、守は師の教えを厳格に守り、基本を徹底的に身につける段階を指します。

破はこれまでの教えを基盤としながらも、自らの個性を活かし、独自のものを生み出す段階を示し、離は初めの教えから離れるのではなく、それを核にして自由自在に行動し、教えを超越する段階を指します。

 

心気力一致(しんきりょくいっち)

「心」には観察力(相手の心の動きを洞察する力、心眼)、不動心(相手の動きに惑わされない冷静な心、平常心)、「気」には集中力(精神エネルギーを集中させる力)・制圧力(相手を気で圧倒し、その心身の動きを制圧する力)、「力」には瞬発力(相手の変化に迅速に対応する能力)・智力(戦いを有利に導くための知恵)が一致することを意味します。

 

隙(すき)

驚き、恐れ、疑念、混乱が生じた心の中にできる隙や、剣先が相手の中心から離れたり、手元が上下に動いたりする動作の隙や構えの隙を指します。

 

捨て身(すてみ)

身を捨てることで初めて浮かび上がる機会があり、相手の隙を見つけたら、躊躇せずに身を捨てて打ち込むことで、勝利を得ることができます。

 

素振り(すぶり)

竹刀や木刀を持ち、大きくかつ正確に上下や斜めに振る動作であり、竹刀操作や刃筋を理解し、打突の基礎を確立するために行います。

 

正眼の構え(せいがんのかまえ)

中段の構えの一つで、剣先の位置によって異なる呼び名があります。

正眼は剣先を相手の喉に、晴眼は目と目の間に、青眼は相手の左目に、星眼は相手の顔面の中心に、臍眼は相手の臍に剣先を付ける一番低い中段の構えを指します。

 

静中の動(せいちゅうのどう)

静かに相手を観察する中で心が停滞せず、機が熟した瞬間に直ちに激しい動きに移ることができる心の準備が重要であり、これは動きの中にあっても心は静かであるという教えの反意を示します。

 

石火の機(せっかのき)

沢庵和尚の著作である不動智神妙録に述べられた教えであり、火打ち石が打たれる瞬間に火花が発するように、打突の機には瞬時に現れるものであり、時間的な隙間や余裕は存在しないことを指します。心が留まるべき余地のないことを教え、心を留めてはならないとしています。

 

殺人刀(せつにんとう)

柳生石舟斎宗厳の工夫公案書において、「当流に構える太刀を皆殺人刀と言う」とあります。

これは、構える太刀全てが敵を殺傷する効果があるという意味であり、構えのない場所を活人剣と呼んでいます。

構える太刀を裁断し、ない所を利用することで、相手を制し勝利を得ることを殺としているのです。

 

「先」

「先」には三つの種類があります。

先の先(先々の先)は相手の思惑を先読みし、相手が動作を起こす前に打つことを指します。

対の先(先・先前の先)は相手の思惑までは読み取れないが、相手の技が成果を上げる前に、先手を取ることを言います。

後の先(待の先・先後の先)は相手の「先」に対応して、相手の技をかわしたり打ち返したりすることを指します。

 

相殺(そうさい)

貸し借りや損得など相反するものを差し引いてゼロにすることを指し、試合で双方が同時に2回の反則を犯して双方が負ける場合に、2回目の反則を反則として数えないことを指します。

 

蹲踞(そんきょ)

剣道で用いられる場合、やや右足を前につま先立ちで両方の膝を左右に開いて折り曲げ、上体を正した中腰の右自然体の体勢を指します。

本来は礼法の一つであり、立礼や座礼、蹲踞の礼があります。蹲踞の礼は、屋外などで目上の人に礼をする際に立礼が失礼であり、かつ座礼も難しい場合に行われます。

 

た行

 

体当たり(たいあたり)

相手の気をくじき、体勢をくじき、相手の構えが崩れた瞬間に打つための行動であり、単に相手を倒すことだけを考えて行うものではありません。

従って、体当たりは踏み込んだ勢いを下腹部に集中し、竹刀の柄と柄を交差させるようにして腰で当たることが重要であり、腕で押すか、頭から突っ込むことは体当たりとは呼ばれません。

思い切って相手に体当りするのも、駆け引きの一つです。

 

大強速軽(だいきょうそくけい)

初心者指導の要諦であり、「大きく正しく」ということを基本に、大きくかかぶり強く正確に打つことから始め、技のスピードが徐々に速くなり、無駄な力がなくなり、次第に軽妙で冴えのある剣道に進化する過程を示しています。

 

打突の好機(だとつのこうき)

打突すべき適切な機会を指し、起こり頭や受け止めた瞬間、居着いた瞬間、相手が退く瞬間、技が尽きた瞬間など、様々な状況を活かして打つべき好機を示しています。

特にこれらの中で起こり頭、受け止めたところ、居着いたところを「三つの許さぬ所」とも呼ばれます。

 

ため

技を発する際に心と体の余裕を持ち、気の充実を図り臍下丹田に気を集中させてから技を出すことが重要です。

気の充実のない状態から発する技は相手に簡単に読まれてしまう可能性があるため、稽古で十分に練習する必要があります。

 

丹田(たんでん)

臍下丹田と呼ばれ、へそと恥骨の腹中にあり、心身の活力の源である気が集まる場所です。

この場所に力を入れることで、腹のすわった姿勢が保たれ、心の動揺も抑えられるとされています。

ちなみに、丹田呼吸という瞑想に使われる呼吸法も存在しています。精神の安定と深いつながりがある場所です。

 

智仁勇(ちじんゆう)

剣の道において重要な概念であり、何が正しいかを識る意の「智」、相手を理解し慈愛の心を持つ「仁」、そして勇気を発揮して打ち込む「勇」が渾然一体となったものが剣の道であるとされています。

 

対の先(ついのせん)

相手が先を取って動作を起こす瞬間に、こちらも先に動作を起こすことを指します。

 

中段の構え

「常の構え」「正眼の構え」として知られ、攻防において最も都合がよく、理想的な構えとされます。

剣先を相手の中心に向け、自然な体勢から右足を前に出し、左足をへその前に置き、握り拳ひとつぐらいの幅を出すようにします。

現代剣道ではオーソドックスな構えです。

 

継ぎ足(つぎあし)

後ろ足を前足に引き寄せ、前足から前進する足運びで、相手との距離が遠くて打突が届かないとき、巧みに間合いを詰めて大きく踏み出すために利用されます。

 

付ける(つける)

剣先を特定の方向に向け、相手の動きを制御したり、攻撃に的確に対応するための姿勢を整えることを指します。

 

鍔ぜり合い(つばぜりあい)

相手に最も接近した間合いで、両者とも竹刀をやや右斜めに開き、鍔(右の拳)が触れ合っている状態を指します。

 

手の内(てのうち)

竹刀の握り方として言及されることもありますが、ここでは竹刀を効果的に操作するための手の掌中の動きを指します。

具体的には、柄を持つ左右の手の持ち方、左右の手の力の使い方、打突の際の両手の力の緊張状態とそのバランス、打突後の力の解放方法などを包括的に指します。

 

動中の静(どうちゅうのせい)

激しい攻防の中でも冷静に相手の状況を判断することが重要であるという教えを表しています。

 

な行

 

中墨をとる(なかずみをとる)

大工用語で用いられる「中墨」に由来し、剣道では相手の中心を指します。

つまり、自分の剣先が相手の中心から外れないようにすることを指します。相手の中心を常に意識し、剣先が左右にそれることなく構えを崩さないようにすることが大切です。

相手に打たれるときは、剣先が左右にずれていることがあり、この時に隙が生じます。

常に剣先を相手の中心から外さないように心がければ、打たれずに済み、また打たれても立派な稽古ができるでしょう。

 

は行

 

刃筋(はすじ)

物を切る際において、力を加える方向と刃の方向が一致することが重要です。

剣道においても、打突の際には常に正確に刃筋を操り、これを「刃筋が立つ」と表現します。

逆に平打ちなどでは、「刃筋が立たない」または「刃筋がつぶれる」といいます。

 

八相の構え(はっそうのかまえ)

「陰の構え」とも呼ばれ、自ら攻撃を仕掛けるのではなく、相手の出方によって攻撃に変化する構えです。

中段の構えから左足を一歩踏み出し、刃を相手に向け、左拳を鳩尾(みぞおち)の前に、右拳を右肩の前で鍔が口元の高さにくるようにします。

 

ひかがみ

膝の裏側の部分を指す言葉であり、正確な足さばきや踏み込みにおいては、左足のひかがみの張り具合や余裕の持たせ方、使い方が重要です。

 

引き上げ

打突の後において、十分な身構えや心構えがなく相手から引き下がって縁を切ることを指します。

 

百練自得(ひゃくれんじとく)

芸事は全てを見聞きして身につけるものではなく、失敗や成功を繰り返し経験することで初めて自分のものとなり、不断の努力が重要であるという古来の教えです。

 

平打ち(ひらうち)

竹刀の左または右側で打つ際に刃筋が正しくない打ち方を指します。

 

開き足(ひらきあし)

相手の打突をかわすために身体を左右にさばく足の動きを指します。

 

二つの目付(ふたつのめつけ)

相手を見る際の目の使い方に関する教えであり、特に相手の目だけでなく、拳と剣先にも注意を払うことが強調されています。

ただし、初心者が特定の場所に焦点を当てることが「止心」につながる可能性があるため、これは初学者に教えるべきでないとされています。

 

踏み込み足(ふみこみあし)

相手の隙を見逃さずに鋭く打突する際に用いる足捌きの技術です。

左足で蹴るように踏み切り、その後右足を上げて足の裏全体で床を踏みつけます。

そして左足を迅速に引き寄せ、姿勢を崩さずになめらかに送り足を行います。

 

平常心・不動心(へいじょうしん・ふどうしん)

心の状態に関する概念であり、普段の心の安定を平常心と呼びます。

また、どんな状況でも心が揺れない状態を不動心と表現します。どんな状況でも冷静な心を維持することは、実力を発揮する上で重要です。

 

放心(ほうしん)

通常はぼーっとしてまとまりのない状態を指しますが、剣道においてはどんな状況にも柔軟に対処できるように、心を開放し、何にも縛られない心の状態を指します。

 

 

ま行

 

間と間合い(まとまあい)

同じ意味で使用されることもありますが、厳密に区別すると、「間」は時間的な距離を指し、「間拍子」や「拍子の間」などに使用されます。

「間合い」とは空間的な距離で、相手との距離を示します。

具体的には、「我より近く、相手より遠い」と表現されるのが間合いです。

ただし、間合いを略して「間」と呼ぶこともあります。

自分の得意とする間合いを体に覚え込ませましょう。

 

枕のおさえ(まくらのおさえ)

現代の言葉で言えば相手の攻撃を制する技術です。

相手が立ち上がろうとする瞬間、枕から離れようとする瞬間に、少ない力で相手の動きを制することができます。

これは、小さな力で相手の大きな力を制御する技巧を指します。面の「メ」や小手の「コ」の字を打つという教えも関連しています。

 

見取り稽古(みとりけいこ)

ただ見学するのではなく、他人の稽古や練習態度、得意技などを研究しながら、良い点を取り入れて自分の剣道に活かすことを指します。

自分が防具を身に着けて稽古しているときでも、常に見取り稽古を心がける必要があります。

 

無心(むしん)

何かをしようとする心がない状態を指します。

 

無念無想(むねんむそう)

余計なことを何も考えず、心に何もない様子を表現します。

 

明鏡止水(めいきょうしすい)

自分の心が明確な鏡であり、静かな水面のように澄み切っていると、相手の隙間が自然に自分の心に映るという概念を指します。

 

目付(めつけ)

剣道では「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)」という言葉が伝えられています。

「眼」は洞察力、「足」は迅速な足さばき、「胆」は度胸、「力」は単に物理的な力だけでなく、一、二、三の要素を含む力を指し、これらの要素の修行の重要性を示した言葉です。

遠山の目付や観見の目付も参考になります。

 

黙想(もくそう)

明治30年頃から始められた形式である。

剣道での黙想は、禅僧が行う結跏趺坐(けっかふざ)をして法界定印(ほうかいていいん)をとる黙想の作法とは異なり、正座のまま法界定印のみをとる黙想が行われます。

 

物打ち(ものうち)

刀身の中で最も切れる部分を指し、切っ先より10センチほどの位置を指します。

竹刀に置き換えた場合、剣先から中結いまでの間を指します。

 

や行

 

有効打突(ゆうこうだとつ)

充実した気勢と適正な姿勢を持ち、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心のあるものを指します。

 

有構無構(ゆうこうむこう)

構えは、あってもなくても同じであり、最終的には心の闘いが勝敗を決定するという意味を表しています。

 

ら行

 

礼の意味(れいのいみ)

「礼」の字の意味は神を祭る際に行う儀礼であり、それによって人の守るべき秩序を表しています。

剣道においては、「礼」の意味は旧字体が示すように、その人の豊かさを表す作法の意味とされます。

この作法の中には、剣道の理念に基づく人間形成が込められており、礼を身につけることが最も大切であるとされています。

 

理業一致(りぎょういっち)

「理」は理合いであり、「業」は技である。

剣道を学ぶ上で、理に偏ることも技に片寄ることも避けるべきであり、理と技とを一元的に修練するのが理業一致であると言えます。

 

わ行

 

脇構え

「陽の構え」として知られ、相手の出方に応じて竹刀を長くも短くも使い分けることができる構えです。

中段の構えから右足を一歩引き、手元を右脇に引き寄せ、竹刀の先を水平よりやや下げ、相手に竹刀の長さを知られないようにします。

 

 

 

終わりに

 

 

剣道用語集はいかがだったでしょうか?

 

剣道はフィジカルだけでなく、相手との駆け引きも重要になってくる競技です

武道なので、痛い思いもしますが

真剣に剣道に取り組めば、体だけでなく心も強くなります

 

肉体も精神も鍛えたい人にはうってつけの競技!

ぜひ、剣道に魅了されてくださいね。

 

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