目次
- 1 将棋用語集
- 2 は行
- 2.1 VS(バーサス)
- 2.2 敗勢
- 2.3 敗着
- 2.4 「はいよる」
- 2.5 入る、入らない
- 2.6 剥がす
- 2.7 はさみ将棋
- 2.8 端
- 2.9 端角
- 2.10 端玉
- 2.11 端歩
- 2.12 弾く
- 2.13 走り駒
- 2.14 走る
- 2.15 端を詰める(取る)
- 2.16 パス
- 2.17 はずす
- 2.18 裸玉
- 2.19 働き
- 2.20 81Dojo
- 2.21 八枚落ち
- 2.22 ハッチを閉める
- 2.23 初手合い
- 2.24 八方桂
- 2.25 離れ駒
- 2.26 離れる、浮く
- 2.27 跳ね違い
- 2.28 跳ねる
- 2.29 羽生世代
- 2.30 羽生マジック
- 2.31 はまる
- 2.32 はめる
- 2.33 嵌め手、ハメ手
- 2.34 速い
- 2.35 バランスを取る
- 2.36 早石田
- 2.37 早囲い
- 2.38 早繰り銀
- 2.39 早仕掛け
- 2.40 早見え
- 2.41 早指し
- 2.42 早逃げ
- 2.43 早投げ
- 2.44 腹
- 2.45 払う
- 2.46 バラす
- 2.47 張り付く
- 2.48 盤覆い
- 2.49 盤外戦術、盤外戦
- 2.50 半香
- 2.51 盤上
- 2.52 盤側
- 2.53 番勝負
- 2.54 番太郎駒
- 2.55 反省する
- 2.56 パンツを脱ぐ
- 2.57 反発
- 2.58 半分返し
- 2.59 B面攻撃
- 2.60 B級
- 2.61 控室
- 2.62 控える戦術
- 2.63 悲観する、悲観的な姿勢
- 2.64 引き飛車
- 2.65 引く
- 2.66 飛車落ち
- 2.67 飛車先の歩
- 2.68 飛車先交換
- 2.69 飛車先不突き
- 2.70 必至、必死
- 2.71 必勝
- 2.72 左馬
- 2.73 左美濃
- 2.74 ビッグ4
- 2.75 ぴったり
- 2.76 ひどい
- 2.77 ヒドショウ
- 2.78 一組
- 2.79 一目
- 2.80 一人終盤戦
- 2.81 一人千日手
- 2.82 ひねった
- 2.83 ひねる
- 2.84 響く
- 2.85 皮膚
- 2.86 ひも
- 2.87 百番指し
- 2.88 秒読み
- 2.89 秒に追われる
- 2.90 評価値
- 2.91 平手
- 2.92 平箱
- 2.93 広い
- 2.94 拾う
- 2.95 封じ手
- 2.96 封じる
- 2.97 歩頭の桂
- 2.98 歩切れ
- 2.99 含み
- 2.100 歩内銀
- 2.101 歩越銀
- 2.102 符号
- 2.103 歩三兵(ふさんびょう)、歩三歩(ふさんふ)
- 2.104 蓋歩(ふたふ)
- 2.105 不戦勝、不戦敗
- 2.106 負担になる
- 2.107 ぶつかる、ぶつける
- 2.108 船囲い急戦
- 2.109 不満がない
- 2.110 フリークラス
- 2.111 振り駒
- 2.112 振り歩先
- 2.113 振り飛車党
- 2.114 震える
- 2.115 ブレイク
- 2.116 文化芸術基本法
- 2.117 ふんどしの桂
- 2.118 平安将棋
- 2.119 ベテラン
- 2.120 へぼ将棋
- 2.121 変化
- 2.122 変則将棋
- 2.123 変態
- 2.124 変調
- 2.125 (局面が)飽和する
- 2.126 ポカ
- 2.127 ほぐす
- 2.128 保険をかける
- 2.129 細い(攻め)
- 2.130 ほっとく、ほおっておく
- 2.131 彫駒
- 2.132 ボロっと/ポロっと
- 2.133 本将棋
- 2.134 本手
- 2.135 凡手
- 2.136 本筋
- 2.137 本譜
- 2.138 ぼんやり(と)、ぼんやりした、ぼんやりとする
- 3 ま行
- 3.1 間合い
- 3.2 摩訶大々将棋
- 3.3 まぎれ
- 3.4 紛れる
- 3.5 負け下
- 3.6 負けになる、負けにする
- 3.7 升田幸三賞
- 3.8 待ち駒
- 3.9 待った
- 3.10 まとめる、まとめあげる
- 3.11 間に淡路
- 3.12 真似将棋
- 3.13 マムシ
- 3.14 丸山ワクチン
- 3.15 回る
- 3.16 回り将棋
- 3.17 満足
- 3.18 見落とし
- 3.19 見えている
- 3.20 見える
- 3.21 右玉
- 3.22 見せる
- 3.23 水無瀬駒
- 3.24 都詰め
- 3.25 妙手(みょうしゅ)
- 3.26 未来がない
- 3.27 観る将
- 3.28 無駄合い
- 3.29 無理筋
- 3.30 無理攻め
- 3.31 名局
- 3.32 名誉名人
- 3.33 名誉王座
- 3.34 名誉NHK杯
- 3.35 目隠し将棋、めくら将棋
- 3.36 目から火が出る
- 3.37 目盛り
- 3.38 面倒を見る
- 3.39 ~を持つ、~持ち、~を持ちたい
- 3.40 もぐる
- 3.41 もたれる
- 3.42 持ち駒
- 3.43 持ち時間
- 3.44 元奨
- 3.45 模様
- 3.46 盛り上げ駒
- 4 や行
- 5 ら行
- 6 わ行
- 7 終わりに
将棋用語集
は行
VS(バーサス)
将棋で二人のプレイヤーが対戦する研究会やセッションを意味します。
この表現は、プレイヤー間の競争的な側面を強調し、対局が単なるゲームではなく、戦略と知識の勝負であることを示しています。
対戦することで互いの技術を磨き合うこのプロセスは、将棋の魅力の一つですね。
敗勢
対局で自分の立場が非常に不利になっている状態を指します。
一度この状態に陥ると、局面を覆すのが難しくなります。
将棋は一手一手がとても重要で、小さなミスが大きな差につながることを思い出させてくれます。
敗着
負けに直結した悪手を意味し、その一手が敗北の決定的な要因となります。
しかし、実際には一手だけでなく、いくつかの微妙な手違いが積み重なって敗北に至ることも多いです。
これは将棋がいかに複雑で深いゲームであるかを示しています。
「はいよる」
「すりよる」と同じく、敵陣に対する駒の潜在的な脅威を高めるために、特定の駒を前進させる行動を指します。
この戦術は、相手にプレッシャーをかけつつ、自分の攻撃の選択肢を増やすことに役立ちます。
入る、入らない
ある手が局面に対して適切かどうかを判断する際に用いられる表現です。
これは、将棋がただのルールに基づいたゲームではなく、状況判断とタイミングが勝敗に大きく影響する知的な競技であることを示しています。
剥がす
相手の重要な守り駒を取り除き、その防御を弱める戦術を指します。
この戦術は、攻撃の効果を最大化し、相手の玉を詰めるための道を開くことに重点を置いています。
将棋における攻防の駆け引きの深さを感じさせる用語ですね。
はさみ将棋
シンプルだが戦略的な思考を要する将棋のバリエーションです。
歩兵の駒のみを使用し、挟み撃ちによって相手の駒を取るルールは、戦術の幅を狭めることで、プレイヤーの創造力と戦略的思考を鍛える良い機会を提供します。
まるでチェスの「ひとくち将棋版」とも言えるかもしれませんね。
端
将棋盤の1筋または9筋を指し、端攻めという戦術は、相手の側面から圧力をかける戦略です。
端からの攻めは、中央や他の筋に比べて意外性があり、相手を不意打ちできる可能性があります。
将棋の戦場において、すべての方向からの攻撃が可能であることを示しています。
端角
角行を盤の端に移動させて活用する戦法を指します。
この配置により、角行の長い利きを端から相手陣へと伸ばすことができ、攻撃の幅を広げることができます。
端角戦法は、角行の柔軟な活用方法を示しており、将棋の奥深さを感じさせます。
端玉
玉が盤の端、特に1筋や9筋に位置することを言います。
この状態は、通常、玉が逃げ場を失い、危機的状況にあることを意味します。
将棋における玉の安全性の重要性を思い出させる用語であり、プレイヤーに慎重な玉の位置取りを促します。
端歩
将棋盤の端、1筋や9筋にある歩のことです。端の歩は、しばしば攻撃や守備の起点となり、また端攻めの際に重要な役割を果たします。
端歩一つにも、将棋の戦略的深さが詰まっていると感じさせる表現ですね。
弾く
リライト: 弾くは、敵の強力な駒が玉将に迫る状況で、その大駒を攻撃する手段として指される手です。
この動きは、特に自玉の防御を固めるために金や銀を利用する場合に用いられます。
大駒はこの攻撃から逃れるしかありません。
駒の活用で局面を一変させる戦術的な魅力がある。
走り駒
リライト: 走り駒は、将棋盤上で特定の方向に限りなく進める駒を指します。
これらは、香車、角行(馬に成った後)、飛車(竜に成った後)が含まれ、他の駒を飛び越えることはできません。
盤上を自由に駆け巡る力強さが特徴。
走る
リライト: 「走る」とは、飛車や香車が前方に複数マス進むことを指します。
この動きは、攻めの構築や相手の陣地への圧力を高めるために重要です。
直線的な進行で局面を支配する戦略性が光る。
端を詰める(取る)
端を詰めるとは、将棋盤の最も端に位置する1筋または9筋で、自陣または敵陣の歩が特定の位置(1五または9五)を占めることを指します。
これにより、相手にプレッシャーを与えることが可能になります。
端の戦いも見逃せない駆け引きがある。
パス
パスとは、将棋において指し手が見当たらず、実質的に手を進めない選択をすることです。
「一手パス」は、局面を見極めるためや、次の一手を計画する際に戦術的に利用されます。
将棋では直接的な「一手休み」は存在しませんが、戦略的な意味合いで使用されます。
状況を見極める冷静さが求められる瞬間。
はずす
玉に迫っている相手の駒を、流れるように除去する戦術。時には「抜く」とも表現され、局面を有利に導くための重要な手段となる。
また、定石や既存の戦法から外れる意外な手を指して展開を変えることも指す。
これは相手を驚かせ、計画を狂わせる効果がある。
この技術は、柔軟性と創造性を駆使する魅力がある。
裸玉
王将の周囲に駒がなく、防御手段が完全に失われた状態を指す。
特に、終盤において敵の攻撃によって囲いが崩された際に見られる。
また、駒落ち戦における極端な形態として、上手が玉以外のすべての駒を落とす状況もこの用語で表される。
玉の孤立は、局面の不安定さを象徴し、勝負の行方を左右する。
働き
駒の盤上での活動範囲、影響力、及び機能を示す。駒の働きを最大化することは、将棋における戦略的な成功への鍵である。
駒一つ一つが持つ潜在能力を理解し、活かすことが勝利への道を拓く。
81Dojo
日本将棋連盟が後援するオンライン対局サイト。
世界中の将棋ファンが集い、対局を楽しむことができるプラットフォーム。
ここでは、技術の向上、新たな戦術の発見、そして国際的な交流が可能になる。
将棋を通じて世界が繋がる素晴らしい場所である。
八枚落ち
上手が八枚の駒を落として行う駒落ち戦。
この形式では、上手は玉、金、歩のみを持ち、下手との間に大きな力の差を設ける。
この差を乗り越えて戦うことは、戦略的思考と技術の磨きを要求される挑戦であり、将棋の奥深さを体験させてくれる。
ハッチを閉める
穴熊囲いで玉将の小鬢を銀で守ること、主に安全性を高めるために行われます。
この手法は、囲いの最後の仕上げとして、玉の安全を確保する上で非常に重要です。
守りを固めることで心理的な安心感も得られ、長期戦における精神的な支えとなることが多いです。
初手合い
公式戦で初めて顔を合わせる二人の対局者のことを指します。
この出会いは、互いの戦術やプレースタイルを探る貴重な機会であり、新鮮な緊張感と期待が満ちています。
初対面の対局は、将棋の世界において新たなライバルリーの始まりを意味することもある。
八方桂
桂馬が8方向に動けるという特別なルールを採用した将棋で、通常の将棋のルールから大きく逸脱しています。
このバリエーションは、桂馬の動きを活かした独特の戦術や局面を生み出し、創造性と戦術の幅を広げる。
通常の将棋にはない駆け引きが楽しめるのが魅力です。
離れ駒
他の味方の駒と連携が取れずに孤立してしまう駒のことを言います。
この状態の駒は、しばしば攻撃に弱く、戦術的な不利を招くことがあります。
しかし、孤立した駒が逆に意外なチャンスを生み出すこともあり、局面に新たな展開をもたらすことも。
孤立はリスクを伴うが、それを活かす戦略性が求められる。
離れる、浮く
駒の支配範囲や影響力が失われることを意味します。
駒が他の駒との連携を欠き、単独で行動する際に使用される表現です。
この状態は脆弱性を露呈するが、同時に相手を惑わせる機会も提供する。
戦術的な見地から、駒の位置と役割を常に見直す必要性を教えてくれる。
跳ね違い
自分と相手の桂馬が利きを交差させた際に、相手の桂を取る代わりに、別の方向に自桂を進める戦術を指します。
この動きは、直接的な駒の交換を避け、より戦略的な位置へと駒を展開する狙いがあります。
相手の意表をつくことができ、局面を有利に進めるきっかけを作ることが期待できます。
この手法は、予想外の動きで相手を翻弄する醍醐味がある。
跳ねる
桂馬が特有の動き、すなわち「桂跳ね」をすることを意味します。
桂馬のこの独特な動きは、将棋の駒の中でもユニークな存在感を放ち、ゲームに深みと複雑さを加えています。
桂馬の跳ねる力は、防御を突破する鍵となることもあれば、予期せぬ攻撃を仕掛ける手段となることもあります。
桂馬の跳躍は、局面を一変させる可能性を秘めている。
羽生世代
羽生善治と同年代の棋士たちのことを指し、棋界において特に成績が際立っている世代を形容します。
この世代は、将棋の歴史において重要な足跡を残しており、多くの伝説的な対局やイノベーションを生み出しています。
彼らの存在は、後世の棋士たちにとって大きな刺激と影響を与えている。
羽生世代の棋士たちは、将棋の可能性を広げ、競技をより豊かなものにしている。
羽生マジック
羽生善治が見せる予測不可能な驚異的な手を指す言葉です。
通常、考えられないような斬新な手法で相手を圧倒することが多く、その創造力と戦略的な深さは多くのファンを魅了しています。
羽生マジックは、将棋が単なるゲームではなく、創造性と知性の競演であることを示しています。
羽生善治のこの能力は、彼を伝説の棋士たらしめている。
はまる
相手の計算通りに進んでしまい、圧倒的に不利な状況に自らを追い込んでしまう手を指します。
このような手を指してしまうと、序盤から中盤にかけて相手に大きなアドバンテージを与えてしまい、ゲームの流れを完全に掌握されてしまうことがあります。
この状況を避けるためには、相手の研究や戦術を深く理解し、柔軟な思考で対応する必要がある。
自らの手が相手の罠にはまることなく、常に一手先を読む洞察力が求められる。
はめる
研究や定跡に基づいた展開を進め、知識の差を利用して圧倒的な優位を築くことを指します。
この用語は特にアマチュアの間でよく用いられ、対局における深い理解と準備の重要性を示しています。
事前の研究に基づき相手を戦略的に圧倒することは、将棋の奥深さと魅力を物語っております。
嵌め手、ハメ手
相手を罠にかけるような手を指し、一見すると魅力的な選択肢に見えますが、見抜かれるとすぐに不利な状況になり得ます。
このような手を用いる際には高いリスクと報酬が伴い、相手を出し抜く駆け引きが将棋の醍醐味を一層際立たせております。
速い
詰め将棋や王手飛車取りなど、勝利に至るまでの手数が少ない局面を表します。
この表現は、効率的かつ迅速な勝利を目指す戦略の重要性を示し、対局における緊迫感と速さが鍵となる瞬間を象徴しております。
バランスを取る
陣形の強固さと配置のバランスの良さを両立させる指し方を意味します。
特に、攻めと守りのバランスを考慮した戦術は、将棋における多様な戦略の中で重要な要素となります。
このような考え方は、局面ごとに最適な手を選択する柔軟性と洞察力を要求し、対局をより深く理解する上で非常に役立ちます。
早石田
序盤から直接決戦に持ち込む石田流の変化形であり、奇襲や嵌め手を用いる戦法として分類されます。
この戦法は、序盤から高い攻撃力を発揮し、相手にプレッシャーをかけることで早期に有利な局面を作り出すことを目指します。
早石田戦法の使用は、積極的で攻撃的な姿勢が対局に新たな魅力をもたらすことを教えてくれます。
早囲い
通常のプレイよりも迅速に玉将を安全な状態にする囲い戦術を指します。
この戦術には壁囲いや矢倉早囲いなどがあり、プレイヤーは防御力を速やかに高めることができます。
この戦法は、序盤から安定した布陣を築くことで、中盤以降の戦いに備える賢明な選択です。
早繰り銀
居飛車戦法で右銀を敵陣深くまで迅速に進出させる戦術です。
千鳥銀の形を取りながら、先手であれば4筋から2筋へ、後手であれば6筋から8筋へと進めることで、早期から攻撃を仕掛けることが可能です。
この積極的な進出は、相手に圧力をかけると同時に、局面を有利に導くための重要な戦略です。
早仕掛け
特に対振り飛車戦法における急戦や奇襲戦法の一環として、序盤から積極的に仕掛ける戦術を指します。
3五歩や4五歩の早仕掛けなどが有名で、この手法は局面を早期に動かし、相手を惑わせる目的があります。
このような仕掛けは、局面にダイナミズムをもたらし、相手に早くからプレッシャーをかけることができます。
早見え
プレイヤーが迅速に最適な手を見つけ出し、決断して着手できる能力を指します。
特に迷いがちな局面でも素早く手が見えることは、競技者にとって大きなアドバンテージとなります。
この能力は、局面を先読みし、迅速な判断で優位に立つために非常に重要です。
早指し
指し手を迅速に行うこと、または持ち時間が短い将棋を指します。
この形式は、プレイヤーに迅速な思考と判断力を要求し、短時間での緊迫した戦いを楽しむことができます。
早指しは、瞬時の決断力が勝敗を左右するため、特に技術的な洗練と心理的な鍛錬が求められます。
各戦術や能力は、将棋の奥深さと戦略的な魅力をより一層引き立ててくれます。
早逃げ
相手の攻撃が本格化する前に、自玉をより安全な位置に移動させる戦術です。
この手法により、攻められるリスクを事前に回避し、有利な展開を見込むことができます。
「玉の早逃げ八手の得あり」という格言が示すように、早い段階での玉の安全性確保は、将来的な利益をもたらすと考えられています。
この考え方は、防御を重視し、先を読む姿勢が大切であることを教えてくれます。
早投げ
比較的少ない手数での投了を意味し、形勢が少しでも悪化するとすぐにゲームを諦めることを指します。
この行動は、早計な判断によるものであることが多く、持久戦での巻き返しの可能性を自ら放棄してしまうことになります。
長期戦における忍耐力と、局面を覆すための戦術への理解を深める機会を提供してくれると言えます。
腹
玉将の直接的な横の位置を指し、攻防の重要なポイントとなります。
腹銀や腹金といった手は、玉将の逃げ道を制限し、攻め手にとって価値の高い手段となります。
この戦術は、局面を支配するために駒を如何に有効に使うかの重要性を示しており、戦略の幅を広げてくれます。
払う
相手の邪魔な駒を取り除く行動を指します。
この動きは、自身の攻撃路線を確保すると同時に、相手の計画を妨害する効果があります。
敵駒を除去することで得られる局面のクリアな視界は、将棋の深い戦術的思考を促します。
バラす
相手の玉を囲う駒と自身の攻め駒を清算し、相手玉の防御を解体することを意味します。
この行動は、攻めの最終段階における重要な一手であり、敵玉を追い込むための準備となります。
局面を有利に導くためには、相手の防御を巧みに解析し、効果的に攻撃する洞察力が必要とされます。
これらの戦術は、将棋の奥深さを感じさせ、日々の研究と実践を通じて成長する楽しさを提供してくれます。
張り付く
金、銀(成銀)、と金、成桂、成香などの駒を相手の囲いに密着させる戦術を指します。
これにより、相手の防御を直接圧迫し、局面を有利に進めるための布石となります。
この手法は、相手の陣形を崩すための重要な一歩であり、攻撃の手がかりを得る上で役立ちます。
駒を効果的に活用することの重要性を教えてくれる戦術です。
盤覆い
5寸将棋盤を保護するために使用される覆いのことです。
将棋盤を埃や傷から守り、長期間にわたって良い状態を保つために重要なアイテムです。
将棋愛好家にとって、盤覆いは将棋盤を大切にする心遣いを象徴するものであり、将棋文化の一部として大切にされています。
盤外戦術、盤外戦
対局の勝敗を左右するために、盤上の技術以外で相手の精神状態に影響を与えようとする心理戦を指します。
この戦術は、対局の心理的な側面を探るものであり、時に対局の結果に大きな影響を与えることがあります。
将棋は技術だけでなく、心理的な強さも求められる競技であることを示しています。
半香
平手と香落ちの中間の手合割を指し、昭和戦前には段位差に相当するものとして用いられていました。
この手合割は、プレイヤー間の力の差を調整し、公平な対局を実現するための一つの方法でした。
将棋の歴史や文化において、多様な手合割が存在し、それぞれが将棋の奥深さと多面性を示しています。
盤上
将棋盤のことを指し、対局中のすべての状態や進行を含みます。
「盤上この一手」などの表現は、対局の重要な局面や、観戦者に向けた対局の楽しみを示す言葉として用いられます。
将棋は盤上で繰り広げられる知的な戦いであり、その一手一手には深い思考と戦略が込められています。
盤上の攻防は、多くの人々にとって魅力的なエンターテイメントであり、心から楽しめます。
盤側
タイトル戦などの将棋の対局において、対局者以外の関係者全体を指す言葉です。
これには記録係、審判、観戦している棋士やファンなどが含まれます。
対局を取り巻く環境や雰囲気を作り出し、また時には対局に影響を与えることもある重要な存在です。
この言葉は、将棋が一人または二人だけのゲームではなく、多くの人々によって支えられているコミュニティであることを示しています。
番勝負
将棋のタイトル戦や棋戦の決勝などで見られる勝敗決定形式で、数回の対局を行い、先に定められた数の勝利を挙げた方が勝者となる方式です。
この形式は、一時的な誤算や不運を乗り越えて実力を証明する機会を提供し、勝者を決めるにあたってより公平性を確保します。
長期にわたる緊張感と戦略の駆け引きは、番勝負の大きな魅力の一つです。
番太郎駒
草書体で書かれた駒で、山形県天童市で生産されています。
その独特の書体と美しさは、将棋駒を単なるゲームの道具ではなく、芸術品としても楽しむことができることを示しています。
これらの駒は、将棋の伝統と文化を今に伝える重要な要素であり、愛好家にとっては特別な価値を持っています。
反省する
自分の指したある手順が相手の応手や反応を見て誤りであると気づき、より良い局面を目指して手を変更することを意味します。
このプロセスは、将棋の深い思考と柔軟な戦略を必要とし、プレイヤーが自身の判断を常に評価し直すことの重要性を教えてくれます。
反省することは成長に不可欠であり、常に自己改善を目指す姿勢が、将棋のスキルアップには欠かせません。
パンツを脱ぐ
穴熊囲いにおいて桂馬が動くことを、俗に「パンツを脱ぐ」と表現します。
これは、穴熊囲いの重要な防御要素である桂馬が、元の位置から動いて攻めに参加するか、あるいは取られてしまうことを意味します。
特に、桂馬が動くことで守りの網が一部解けるため、この表現が使われます。
穴熊囲いの堅牢な防御を支える桂馬が動くことは、局面に大きな変化をもたらす重要な瞬間です。
この表現は、将棋の戦術に関する知識とユーモアが融合した面白い例と言えるでしょう。
反発
相手の攻めに対して守りだけでなく、積極的に攻め返す戦術のことです。
この方法は、防御に徹するだけではなく、局面を有利に導くために攻撃的な手段を取ることの重要性を示しています。
反発することで相手にプレッシャーをかけ、自らの優位を築くことができます。
この戦術は、局面を読む力と攻守のバランスをとる技術が求められるため、将棋の奥深さを感じさせます。
半分返し
相手が長考した際に、その考慮時間の半分程度で手を返すという戦略です。
この方法は、時間を有効に使いつつ、相手に対する心理的な圧力をかける効果があります。
持ち時間の管理は将棋において重要な要素であり、半分返しは、時間を味方につける上で賢明な戦術と言えるでしょう。
この戦術は、精神的な駆け引きと時間管理のスキルが重要であることを示しています。
B面攻撃
主に矢倉戦において、相手の主力攻め駒(特に飛車や角)を攻撃する戦術です。
この方法は、相手の攻めの意図を逆手に取り、自らの攻撃チャンスを生み出すことを目的としています。
B面攻撃を用いることで、局面に新たな展開をもたらし、相手を不意打ちできる可能性があります。
この戦術は、攻守の鋭い切り替えと、局面の流れを読む洞察力が求められ、将棋の醍醐味を存分に味わえるものです。
B級
順位戦のクラスにはB級があり、これはB級1組とB級2組に分けられています。
B級のクラスに属することは、将棋のプロ棋士として一定の実力を持つことを意味し、A級への昇格を目指す重要なステップです。
このレベルの棋士は、将棋界で高い技術と戦略を持つことが認められており、常に成長と進化を求められます。
B級の戦いは、棋士のキャリアにおいて大きな挑戦とチャンスを提供する舞台であることが伺えます。
控室
現在進行中の対局をリアルタイムで分析し、検討するために他の棋士が集まる場所です。
この部屋は、戦術や戦略について深く議論を交わし、相互に学び合うための重要な空間であり、棋士たちの技術向上に寄与しています。
控室は、将棋界における知識の共有とコミュニティの絆を深める場として、非常に価値があると言えるでしょう。
控える戦術
攻め駒を直接前線に投入するのではなく、将来の攻めを見越して後方に配置することを指します。
このようにして、戦略的な位置に駒を配することで、局面を有利に進めるための布石とします。
この戦術は、将来の局面を見越した深い計画と、戦略的な思考を必要とし、将棋の戦術的な奥深さを示しています。
悲観する、悲観的な姿勢
対局中に自分の形勢を実際よりも不利だと過剰に判断する心理状態を指します。
このような考え方は、時に棋士の判断を曇らせ、最適な手を見逃す原因となることがあります。
しかし、この悲観的な視点を適切に管理し、冷静に局面を再評価することは、精神的な強さと戦略的な柔軟性を育む機会ともなり得ます。
将棋は単に技術の競技ではなく、心理戦でもあることを、この概念は教えてくれます。
引き角
角行を自陣深くに引いて使う戦術は、引き角と呼ばれます。
先手の場合は8八から7九へ、後手の場合は2二から3一へ移動させることが一般的です。
この配置から展開する戦法を引き角戦法と称し、角行の長い利きを活かしつつ、相手陣に対する圧力を構築します。
この戦法は、角行の柔軟な運用を示し、局面に多様性をもたらす効果があります。
引き飛車
飛車を基本的な位置から後方に移動させて使用する戦術の一つです。
この戦術は、飛車の活用方法に幅を持たせ、相手に予期せぬ圧力を加えることが可能になります。
引き飛車によって、攻撃だけでなく守備にも対応できる柔軟性が飛車に与えられ、局面を有利に導くための重要な選択肢となります。
引く
駒を後方に移動させることを指し、特に飛車や金将など直線的に後退できる駒で用いられます。
この行動は、防御を強化したり、特定の筋を制御するために効果的であり、戦術的な柔軟性を確保するために不可欠です。
戦術の多様性と局面への適応力を高めるための基本的な手段であることがわかります。
飛車落ち
上手が飛車を落として行う駒落ち戦の一形式です。
この形式では、飛車の強力な攻撃力を放棄することで、対局の難易度を調整します。
飛車落ち戦は、飛車を持たない側にとって戦略的思考と工夫をより一層求められる対局形式であり、将棋の深い魅力と戦術の奥深さを教えてくれます。
飛車先の歩
飛車の直接の前に配置された歩のことを指し、「飛車先を切る」とはこの歩を戦略的に活用することを意味します。
この手法により、飛車の利きを広げ、攻撃的なポジションを確保することができます。
飛車先の歩を活用することで、局面に大きな影響を与え、相手に対する圧力を強化することが可能です。
この戦術は、将棋の戦略的な深みと、一手一手の計算の重要性を示しています。
飛車先交換
飛車先交換は、飛車の直前に位置する歩を相手の歩と交換し、持ち駒にする戦術です。
この動きによって、飛車の活動範囲を広げるとともに、局面を有利に進めるための布石となります。
「色々得になる」という格言がありますが、一方で相手に逆襲されるリスクや、相手の飛車先交換を巧みに利用する戦略も存在します。
飛車先交換は、局面の攻防に多様な影響を及ぼし、将棋の戦略を豊かにする魅力的な手法です。
飛車先不突き
飛車先不突きは、飛車の前方の歩を序盤に突かずに進める戦法で、特に飛車先不突矢倉などの居飛車戦法で見られます。
この戦法は、伝統的な攻撃手段を避け、駒組みによって局面を構築することを目指します。
飛車先不突きは、予測しにくい局面を作り出し、相手を惑わせる戦略として効果的です。
必至、必死
必至、または必死は、「詰めろ」の一種で、受ける側がどのように対応しても次の手で玉が詰まされる状態を指します。
この状況は、対局において最も緊迫した瞬間の一つであり、勝負の行方を左右する重要な局面です。
必至の局面は、将棋の深い戦術と精緻な計算を要求され、プレイヤーの技術を試す試金石となります。
必勝
必勝は、勝利が確実な状況を指し、対局で優位に立っていることを意味します。
この状態に至るには、深い戦略的思考と正確な手順が必要とされ、将棋の複雑な攻防を見事に制御する棋士の力量が示されます。
必勝の局面を作り出すことは、将棋における究極の目標であり、その達成は大きな達成感をもたらします。
左馬
左馬、または逆馬は、馬を鏡文字にしたような形で、縁起が良いとされることがあります。
この概念には諸説が存在し、将棋の駒や戦術とは直接関係ありませんが、文化的な背景や信念を反映しています。
左馬に関する信念は、将棋がただのゲームではなく、長い歴史と文化を持つ深い世界であることを物語っています。
左美濃
左美濃は、美濃囲いが左側に形成される場合の呼称で、主に対振り飛車戦法で用いられます。
美濃囲い自体は振り飛車用の囲いですが、居飛車戦法でこの形を取るときは、囲いが左側に完成します。
最近では、相居飛車や対矢倉戦法での採用も見られ、その適用範囲の広さが注目されています。
左美濃は、その堅牢性で知られ、戦術の多様性を豊かにしています。
ビッグ4
ビッグ4は、金銀四枚を使用して築く銀冠型の居飛車穴熊を指し、史上最強の囲いとも称されます。
この囲いは、その防御力の高さから多くの棋士に採用され、多様な攻撃に対して高い耐久性を発揮します。
ビッグ4は、将棋の防御戦術における重要な概念であり、その強固な構造は多くのプレイヤーにとって憧れの対象となっています。
ぴったり
ぴったり詰みは、歩以外の持ち駒をすべて使い切って行う詰め方を指します。
この詰め方は、局面において非常に効率的で、持ち駒の最適な使用法を示します。
ぴったり詰みには、計算と精密な手順が要求され、将棋の技術的な美しさを際立たせます。
ひどい
ひどい将棋は、勝敗に関わらず、内容が質的に劣る対局を指します。
これには、明らかなミスや一方的な展開が含まれ、対局者にとって反省点が多い対局となります。
また、あまりにも不利な局面を「ひどい」と表現することもあります。
この表現は、将棋の対局において、常に高い水準を目指すべきであることを示しています。
ヒドショウ
ヒドショウは、「ひどい将棋」の略で、自己の出来が悪かった対局を自嘲する際に用いられます。
この言葉は、将棋の対局において自己反省が重要であることを示し、自らの技術や戦略を客観的に評価し、改善を図る姿勢が求められることを物語っています。
ヒドショウを経験することは、成長のための大切なステップとも言えるでしょう。
一組
「一組」とは、特定の手順において、一方がある手を指した際に、相手が特定の応手を選ぶしかなく、その後に続く自分の手が有利な局面を作り出せる状況を指します。
この用語は、予め計画された手順の中での駆け引きを強調し、将棋の戦術的な深みと計算の重要性を示しています。
ただし、詰将棋の手順には適用されません。この戦術的なやり取りは、将棋の醍醐味の一つと言えるでしょう。
一目
「一目」とは、直感的に判断したり、第一感で理解することを意味します。
例えば、「この王手は一目取っても詰みませんね」という場合に使用され、直感的に局面を評価する能力の重要性を示しています。
将棋では、瞬時に最善手を見つける洞察力が求められ、この能力は経験と知識が蓄積された結果です。
一人終盤戦
「一人終盤戦」とは、一方の玉だけが攻められ、終盤の局面に追い込まれている状態を指します。
この状況は、棋力の差や一方的なゲーム展開を示唆しており、攻められている側にとっては非常に厳しい局面です。
この表現は、将棋の対局における攻防のバランスと、局面の見極めが如何に重要であるかを物語っています。
一人千日手
「一人千日手」とは、一方のプレイヤーが同じ手順を繰り返し、相手の反応を探る状態を指します。
この戦略は、局面を安定させたり、相手の意図を探るために用いられますが、同時に進展のない状況を生み出す可能性もあります。
この状態は、将棋の精神的な駆け引きと、戦術的な忍耐を示しています。
ひねった
「ひねった」とは、通常予想される手順から外れ、相手が予想しないような独特で違和感のある手を選択することを指します。
例えば、「ひねった手順」や「ひねった歩突き」などと表現されます。
この戦術は、相手を惑わせ、有利な局面を作り出すために用いられますが、悪手にならない範囲での選択が求められます。
ひねった手を用いることで、将棋の局面に新たな展開をもたらし、戦術の多様性を豊かにします。
ひねる
アマチュア将棋界で「ひねる」という言葉は、ひねり飛車を用いることを短縮して表現したものです。
例えば「三連続でひねってきたぞ」という使い方がされます。
この表現は、特定の戦法を好んで使う様子や、その戦法に対する個人の嗜好を示しています。
将棋の多様な戦術の中で、ひねり飛車を指すことは、個性的な戦い方を楽しむ一つの方法と言えるでしょう。
響く
「響く」とは、攻めが相手に対して有効であること、つまり攻めが通用する状態を指します。
逆に、「響かない」とは攻めが効果的でないことを意味します。
この用語は、将棋の局面における攻撃の効果を評価する際に使われ、戦術の成功や失敗を簡潔に表現する方法として用いられます。
攻め手の影響力を考える際に重要な概念です。
皮膚
将棋において「皮膚」とは、特に囲いの重要な位置に配置されている歩を指します。
例えば、「先に二筋の皮膚を剥がされたのが痛かった」という表現では、囲いを守る重要な歩が取られたことの影響を指しています。
この比喩は、将棋の局面における歩の重要性や、囲いにおける防御力の基礎を象徴しており、戦術の繊細さを示しています。
ひも
「ひも」とは、ある駒が相手に取られた場合でも、別の自駒で取り返せるようにサポートしている状態の駒を指します。
例えば、「飛車が角の利きに入っているが、歩のひもがついているからただ捨てにはならない」という使い方がされます。
この概念は、駒の相互サポートや戦術的な連携の重要性を示し、局面における計画的な戦略構築を教えてくれます。
百番指し
「百番指し」とは、ある二人の棋士同士が対局数100局に達することを指し、特にタイトル戦などで頻繁に対戦することから生じます。
この現象は、長年にわたるライバル関係や深い競争を象徴し、将棋界における個々の棋士の歴史や経験の豊かさを示しています。
百番指しは、棋士同士の技術的な成長や精神的な繋がりを感じさせる特別な記録です。
秒読み
秒読みは、持ち時間がほとんどなくなった時に1分以内で手を指さなければならない状況で、秒単位でのカウントダウンが行われます。
この厳しい時間制限の下での対局は、プレイヤーにとって極めて高い集中力と迅速な判断を要求します。
秒読みの状況は、将棋の醍醐味である精神的なプレッシャーと戦略的な駆け引きをさらに際立たせるものです。
秒に追われる
秒に追われるとは、持ち時間の限界が迫り、対局時計のカウントダウンに追い立てられて、慌てて非合理的な手を指してしまう状況を指します。
このような状況は、プレッシャーの中での冷静さを保つことの難しさを示し、時に思わぬ誤手を引き起こす原因となります。
秒読みに強い棋士は、時間管理の重要性と精神的な鍛錬が将棋の勝敗にどれほど影響するかを教えてくれます。
評価値
評価値は、コンピュータソフトが将棋の局面を分析し、形勢を数値化したものです。
この数値は、駒の効きや配置、駒得の差を基に算出され、局面の有利不利を示します。
しかし、実際の対局では、人間の直感や戦略が評価値とは異なる展開を生み出すこともあります。
評価値は、将棋の形勢判断において有用なツールですが、人間同士の対局では予測不能な展開が生じることもあり、その魅力の一つと言えます。
平手
平手は、どちらのプレイヤーもハンディキャップなしで対局を始める将棋の形式です。
この最も標準的な対局形式は、双方の実力を直接試す場となり、将棋の基本的な魅力と戦術の奥深さを存分に味わうことができます。
平手対局は、棋士同士の真の力量を競う舞台であり、将棋の公平性と競技性を象徴しています。
平箱
平箱は、高級な将棋駒を収納するための箱で、駒の保管や持ち運びに使用されます。
この箱は、大切な駒を守るためのものであり、将棋文化における美意識と伝統の尊重を反映しています。
平箱に駒を丁寧に収める行為は、将棋愛好家にとって駒への敬意を表すとともに、将棋の歴史と文化を大切にする心を育むものです。
広い
「広い」とは、玉や囲いが広範囲に移動可能であることを意味します。
この表現は、玉の安全性や囲いの堅固さを示す際に用いられ、戦略的な柔軟性と防御力のバランスを重視する概念です。
玉が広い、あるいは囲いが広い状態は、対局において有利な局面を築くための重要な要素となります。
拾う
「拾う」とは、攻め駒を補充するために盤面の隅にある駒(特に桂や香)を取る行為を指します。
この戦術は、局面の進行に伴って駒を有効に再利用し、攻撃力を増強する目的で用いられます。
駒を拾うことで、プレイヤーは局面の優位をさらに強化し、攻撃の選択肢を広げることができます。
封じ手
封じ手は、2日制タイトル戦などで1日目の終わりに次の日に指す手を記載し、封筒に入れて保管する手続きです。
この制度は、公平性を保ちながら中断時の戦略を維持するために設けられており、将棋の伝統的なルールの一つです。
封じ手の存在は、将棋が単なるゲームを超えた精神的な駆け引きと戦略を含む競技であることを象徴しています。
封じる
「封じる」とは、攻めを完全に受け止めることや、相手の攻撃を事前に阻止して効果的な手が打てないようにする戦術を指します。
この概念は、防御戦術の緻密さと前見の明を要求され、局面の安定と優位を維持するための重要な手段です。
封じることのできるプレイヤーは、相手の意図を見抜き、局面をコントロールする高い能力を持っていると言えます。
歩頭の桂
歩頭の桂は、相手の歩の頭に桂馬を打ち込み、その反撃で囲いを破壊する手筋を指します。
「矢倉崩しの歩頭の桂」などとも表現され、特定の囲いを効果的に崩すための戦術として知られています。
この手筋は、局面にダイナミックな変化をもたらし、攻撃側に大きなアドバンテージを提供します。
歩頭の桂を用いることは、局面を読む洞察力と戦術の練度を示すものです。
歩切れ
歩切れとは、持ち駒に歩が一つもない状態を指します。
この状況は、攻めの手段を限定させることがあり、特に歩を活用した戦術を取りたい場合に不便を感じさせます。
歩切れは、駒の管理と戦略的な利用の重要性を教えてくれる状況です。
含み
含みとは、将棋の指し手が多様な可能性を残していることを指します。
このような指し方は、相手に対して次の一手を予測させにくくする効果があり、戦術的な柔軟性を高めます。
含みのある指し手は、局面を読む力と創造性を駆使する知的な駆け引きの一例です。
歩内銀
歩内銀は、銀将を自陣の歩の下に配した陣形を指します。
この配置は、特にツノ銀などの陣形で見られ、守備を固めつつ攻撃の準備を整える戦略的な布陣です。
歩内銀は、陣形の構築における駒の位置関係の重要性を示す良い例となります。
歩越銀
歩越銀は、銀将を自陣の歩の上に配した陣形を指し、特に早繰り銀などで生じる配置です。
銀を5筋の歩の上に配置した場合は、腰掛け銀とも呼ばれます。
この陣形は攻撃的な意図を持ち、局面に積極的に影響を与える意図があります。
歩越銀は、陣形の柔軟性と戦術的な展開の豊富さを教えてくれます。
符号
符号は、将棋の盤上で駒を動かす際に使用される表記法です。
この符号は、駒の移動先を明確に示すために用いられ、対局の記録や分析に欠かせません。
符号を理解することは、将棋の局面を正確に読み取り、学習するための基礎となります。
符号に慣れることは、将棋の深い理解への第一歩と言えるでしょう。
歩三兵(ふさんびょう)、歩三歩(ふさんふ)
歩三兵または歩三歩は、駒落ち将棋の一形式で、上手(強い方)が王と歩三つだけで戦う対局を指します。
この形式は余興将棋で見られ、特に上手側に二歩が許される場合もあります。
このルールは、通常の将棋とは異なるユニークな戦略を生み出し、上手と下手の間の力の差を調整するために用いられます。
歩三兵の対局は、創造力と柔軟な思考が試される興味深い局面を提供します。
蓋歩(ふたふ)
蓋歩は、飛車の進路の後ろに歩を打つ手筋を指し、「蓋をする」とも表現されます。
特に飛車先の歩を交換した後に8五歩を打つことを例に挙げられます。
この手筋は、飛車の活動を制限し、相手の攻撃計画を阻害する効果的な方法です。
蓋歩は、局面をコントロールするための重要な戦術であり、駒の有効利用を示す例と言えます。
不戦勝、不戦敗
不戦勝や不戦敗は、プロの棋戦において休場や棄権、大幅な遅刻などの規定違反により失格となることです。
特に遅刻に関しては、遅刻した時間の3倍の時間が持ち時間から引かれ、遅刻した時間が持ち時間の3分の1に達すると失格となります。
これらの規則は、対局の公平性と厳正さを保つために設けられています。
負担になる
負担になるとは、有効だと思って打った駒や前進させた駒が、逆に相手からの攻撃の目標にされ、不利な局面を招くことを指します。
この状況は、攻めの手や拠点作りにおいて特に言及され、計画的な駒の進出が如何に重要であるかを示しています。
駒を進める際には、相手の反撃を予測し、慎重な戦略を立てる必要があります。
ぶつかる、ぶつける
ぶつかる、ぶつけるは、駒組みを終えて戦端を開くこと、または相手の駒の利きに自駒を指すか打って交換を強要することを指します。
この行為は、局面の攻防を活発化させ、ゲームの進行に直接的な影響を与えます。
ぶつけることで、相手の布陣を崩す機会を作り出し、有利な局面を目指す戦略的な動きと言えます。
船囲い急戦
船囲い急戦は、対振り飛車戦法において、舟囲いを採用しながら積極的に攻めを仕掛ける戦術です。
この急戦は、左美濃や居飛車穴熊など他の囲いを用いる急戦戦法と同様に展開可能ですが、舟囲いを使用することで早仕掛けの局面を生み出します。
舟囲いを採用することにより、固い守りと同時に攻めの機動力も確保し、ゲームを有利に進めることが可能です。
不満がない
「不満がない」とは、対局が有利であるか、少なくとも互角の展開にある状態を指します。
この表現は、プレイヤーが現在の局面に満足していることを示し、自信と安定した心理状態を反映しています。
この状況は、プレイヤーにとって積極的な戦略を取りやすく、勝利への期待を高めます。
フリークラス
フリークラス制度は、プロ将棋界において、順位戦のクラスに属さない棋士のために設けられた制度です。
この制度は、さまざまな理由で順位戦に参加しない棋士にも対局の機会を提供し、将棋界における多様性と柔軟性を促進します。
フリークラスの棋士たちは、独自の道を歩むことで新たな価値を将棋界にもたらすことが期待されます。
振り駒
振り駒は、将棋の対局で先手・後手を決めるために用いられる方法の一つです。
この方法では、駒を振り落とし、表裏の出方によって手番を決定します。
振り駒は、対局の公平性を保つためのシンプルかつ効果的な手段であり、将棋の伝統的なルールの一部を形成しています。
振り歩先
振り歩先は、振り駒の際に歩の面が多く出た方の対局者を指し、通常は上位者に該当します。
この用語は、対局開始前の手続きにおける小さな駆け引きを示し、将棋の対局が始まる前から戦略的な思考が始まっていることを象徴しています。
振り駒による手番決定は、対局のスタートラインにおける公平性と期待感を高める重要なプロセスです。
振り飛車党
振り飛車党は、将棋の対局で振り飛車戦法を好んで用いる人々を指します。
この戦法を得意とし、その特徴を生かした戦い方で局面を制御する能力を持っています。
振り飛車党のプレイヤーは、そのダイナミックな戦術で多くの将棋ファンを魅了しています。
震える
「震える」とは、局面が優勢であるにもかかわらず、そのプレッシャーによって最適な手を指せなくなる状態を表します。
この心理的な影響は、形勢が有利であることを自らの不利に変えてしまうこともあり、精神的な強さが将棋の勝敗に大きく影響することを示しています。
ブレイク
ブレイクは、主にタイトル戦番勝負において後手番で勝利することを指し、テニス用語が由来です。
この戦術は、対局における大きな転換点となり得る重要な勝利を意味し、局面の流れを変えるきっかけとなります。
文化芸術基本法
文化芸術基本法により、将棋は文化芸術の一環として認識され、国から振興のための支援を受けることが可能になっています。
この法律は、将棋を含む文化芸術活動が国家的な支援を受ける重要性を認めており、将棋界の発展と普及に貢献しています。
ふんどしの桂
ふんどしの桂は、桂馬を用いて両取りを狙う手筋を指し、「桂馬のふんどし」とも呼ばれます。
この名称は、その形がふんどしに似ていることからきており、将棋の戦術における面白味と創造性を示しています。
ふんどしの桂は、局面を有利に導くための巧妙な手法として、戦略的な深みを加えています。
平安将棋
平安将棋は、鎌倉時代初期に編纂されたとされる『二中歴』に掲載されている将棋で、日本将棋の古形を伝える重要な記録です。
この時期の将棋は、現代の将棋とは異なるルールや駒の動きを持っていた可能性があり、将棋の歴史や発展過程を知る上で貴重な情報源となっています。
ベテラン
ベテランは、年齢が40代後半から60代に入っている棋士を指し、経験豊富ながら加齢による棋力の変化が見られることもあるグループです。
これらの棋士は、長年の対局経験から独自の戦術や戦略を磨き上げてきたことで知られ、将棋界において尊敬と敬意を集めています。
へぼ将棋
へぼ将棋は、技術や知識が未熟な初心者や級位者が指す、技量的に劣るとされる将棋のことを指します。
この表現は、上位者や有段者から見た時の技術的な差を示しており、将棋の学習過程における一つの段階と考えられます。
変化
変化は、ある局面から複数の手順や選択肢が考えられる状況、または定跡から逸脱して異なる展開を目指す一手を指します。
将棋における変化は、局面の予測不可能性を高め、戦術の多様性を生み出す要素として重要です。
変則将棋
変則将棋とは、はさみ将棋や将棋崩しなど、一般のルールとは異なる特殊なルールで遊ばれる将棋ゲームの総称です。
これらのゲームは、本将棋と区別され、将棋を異なる角度から楽しむためのバリエーションとして存在しています。
変則将棋は、将棋の遊び方を広げ、新しい楽しみ方を提供してくれます。
変態
変態とは、将棋において定跡から大きく逸脱した、一見して非伝統的または奇抜に見える陣形や駒組みを用いることを指します。
この用語は、特に佐藤康光や山崎隆之のように変則的な戦術を得意とする棋士を指して用いられることがあります。
このスタイルは、互角あるいはそれ以上の戦いを展開し、優位に立つことが可能です。
変態戦法の使用は、将棋の戦術の幅を広げ、新しい可能性を提示しています。
変調
変調は、これまでの自己の手の選択傾向や棋風から大きく逸脱した手を指し、それによって形勢が急に互角に近づく状況を指します。
この用語は、特に解説者が対局の特定の一手を指して用いることが多く、予期せぬ展開をもたらす一手の意外性や局面の変化を示しています。
(局面が)飽和する
局面が飽和するとは、両者にとって有利な手がなくなり、攻撃を仕掛けるか、守備的な手を指すかの選択を迫られる状況を指します。
この段階は、一部の戦型で見られ、対局者が次の一手に大きな慎重さを要する局面です。
飽和状態は、戦略的な思考と忍耐が求められる重要な局面となります。
ポカ
ポカとは、不注意から生じる悪手を指します。
このような手は、しばしば対局の流れを不利にする原因となり、棋士にとっては反省点となることが多いです。
ポカを指してしまうことは、集中力や注意力の重要性を再認識させる貴重な教訓となります。
ほぐす
ほぐすとは、盤上で駒が密集している地点において、駒の取り合いによって局面を明確にし、理解しやすくする行為を指します。
このプロセスは、局面の複雑さを軽減し、今後の戦略を立てやすくするために重要です。
ほぐすことは、局面の進展において戦略的な選択を行う上での重要なステップとなります。
保険をかける
勝ち局面で、予期せぬ逆転を防ぐために、自玉を絶対に詰まない安全な形にする行為を「保険をかける」と呼びます。
この戦術は、勝利を確実なものにするための慎重な手法であり、将棋における先見の明とリスク管理の大切さを示しています。
保険をかけることで、安心して局面を進めることができます。
細い(攻め)
攻めが「細い」とは、攻め駒が少なくて攻撃が弱く、容易に攻めが途切れる可能性がある状態を指します。
この表現は、攻撃の持続性や圧力の強さが重要であることを示し、効果的な攻めを構築するためには、駒の充実と戦略的な配備が必要であることを教えてくれます。
ほっとく、ほおっておく
指された手にすぐには対処せず、一時的に放置することを「ほっとく」や「ほおっておく」と表現します。
この戦術は、直ちに反応することなく、より戦略的な優先順位に基づいて行動することの重要性を示しています。
時には、相手の意図に乗らず、局面を自分のペースで進めることが賢明な選択となります。
彫駒
彫駒は、駒の表面に文字を彫り込んで作られた駒のことで、彫り埋め駒や深彫り駒など、製作技法によってさまざまな種類があります。
この駒は、職人の高度な技術と芸術性を反映しており、将棋駒の美しさと文化的価値を高めています。
彫駒は、将棋を愛する人々にとって、単なる道具以上の存在です。
ボロっと/ポロっと
局面で駒が交戦し、その結果として一方が相手の駒を代償なしで取れる状況を「ボロっと」や「ポロっと」と表現します。
この用語は、駒取りの際に得られる突然の利益や意外性を強調し、局面における機動力やチャンスの見極めが重要であることを示しています。
ボロっと駒を取ることができれば、局面を有利に進める大きなチャンスとなります。
本将棋
本将棋とは、はさみ将棋や将棋崩しなどの変則将棋と区別される、通常の将棋のことを指します。
この用語は、将棋の伝統的なルールに基づく対局形式を示し、幅広い戦略と技術が求められる将棋の世界を象徴しています。
本将棋は、深い思考と計算を要する知的なゲームとして、多くの人々に親しまれています。
本手
本手は、本筋の手、すなわち局面において最適とされる手のことを指します。
この用語は、将棋における戦略的な判断と精緻な計算に基づいて選ばれる手を示し、局面を有利に進めるための重要な選択となります。
本手を指すことは、対局者の深い局面理解と技術の高さを示す証となります。
凡手
凡手とは、特に効果が見込めない平凡な手のことを指し、局面に大きな影響を与えることが少ない手を意味します。
この表現は、将棋の対局において、より効果的な手が存在することを示唆し、常に最善の手を模索する必要性を教えてくれます。
凡手を避け、本手を目指すことが、勝利への道を切り開きます。
本筋
本筋とは、多くの対局から練られた感覚に照らして、悪手にならない王道的な手順を指します。
また、定跡においては、双方の妥当な手の応酬によって進行する、最も一般的な手順を意味します。
本筋の手順は、将棋の戦術や戦略の基礎を形成し、対局者が局面を理解しやすくするためのガイドラインとなります。
本筋を追求することは、将棋の深い理解への入口とも言えるでしょう。
本譜
本譜は、実際の対局で指された手順の進行を指します。
対局者が実際に選択した手や、その局面からどのような変化が考えられるかを検討する際に用いられます。
本譜を通じて、対局の分析や反省、さらには新たな戦術の発見が行われ、将棋の技術向上に寄与します。
ぼんやり(と)、ぼんやりした、ぼんやりとする
「ぼんやり」とは、局面において明確な利益を得ているわけではなく、特定の強力な手を指す必要もない状態を形容します。
この表現は、好手でも悪手でもない、選択肢が広がる局面を指し、時には対局者が納得していない場合に使われることがあります。
ぼんやりとした手は、局面の進行において慎重さや、さらなるチャンスをうかがう戦略的思考を反映しています。
ま行
間合い
間合いは、対局中に棋士が持つ独特の感覚で、相手の手の傾向や将来の行動を予測する能力を指します。
この能力により、棋士は相手の戦略を読み解き、自身の次の手を決定します。
「同じ攻め将棋でも二人は間合いが違う」という表現は、それぞれの棋士が独自の戦術的感覚を持っていることを示しています。
間合いを感じ取る能力は、対局における微妙な心理戦と戦略的な駆け引きを深める重要な要素です。
摩訶大々将棋
摩訶大々将棋は、古将棋の一種で、19×19の盤上に50種類の駒を用い、合計192枚の駒で戦うゲームです。
この将棋の特徴は、自陣や敵陣の概念がなく、駒を取ると強制的に成駒になる点にあります。
鉤行や摩(魚偏に曷)など、特に強力な駒が存在します。
摩訶大々将棋は、その複雑さと独特のルールで、将棋の多様性と戦略的な深さを示しています。
まぎれ
まぎれとは、局面が複雑で読みが困難な状況を指し、棋士が手順を読み誤る可能性が高まることを意味します。
この用語は、将棋の局面における予測不可能性と、正確な読みの重要性を強調しています。
まぎれのある局面は、棋士にとって大きな挑戦であり、深い集中力と洞察力が求められます。
紛れる
紛れるとは、優勢な局面から形勢が互角程度まで持ち直されることを指します。
この状況は、局面の逆転や意外な展開が生じる可能性を示しており、対局の予測不可能性と変動性を象徴しています。
紛れる局面は、棋士にとって臨機応変な対応と冷静な判断が求められる緊迫した瞬間です。
負け下
負け下とは、連敗して心理的にも技術的にも落ち込んでいく状態を指します。
この表現は、競技における精神的な負担と挫折感を表しており、対局者が直面する心理的な試練を示しています。
負け下の状況を乗り越えることは、棋士にとって成長と自己克服の重要な機会となります。
負けになる、負けにする
負けになる、負けにするとは、対局がまだ終了していないものの、敗北がほぼ確実な状態になることを意味します。
この状況は、形勢が大きく不利に傾いており、逆転の可能性が極めて低いことを示しています。
将棋は最後の一手まで予測不能な展開を見せることがあるため、負けになる状況でも冷静な判断が求められます。
升田幸三賞
升田幸三賞は、新手や新戦術、新戦法を編み出したことに対して毎年贈られる賞で、将棋界の革新者たちを讃えるために設けられています。
この賞は、数々の革新的な手法を生み出した升田幸三の名を冠しており、将棋の進化と発展に寄与した人物に贈られることで、将棋界の創造性と挑戦精神を称えています。
待ち駒
待ち駒とは、終盤において相手玉の退路を塞ぐために持ち駒から金や銀などの駒を使うことです。
この戦術は、相手玉の動きを制限し、詰めろや詰将棋に持ち込むための重要な手段であり、局面を有利に進めるための戦略的な駒使いを示しています。
待った
待ったは、指し手を戻して再度指すことを求める反則行為です。
公式な対局では認められておらず、一度指した手は撤回できないルールが適用されます。
待った行為は、対局の公平性と真剣勝負の精神を保つために禁止されており、プレイヤーには一手一手を慎重に考える態度が求められます。
まとめる、まとめあげる
まとめる、まとめあげるとは、金銀の連結が弱い場合でも広い範囲をカバーして局面を有利に進める技術を指します。
この表現は、局面の管理と駒の効果的な使用に長けた棋士の能力を示し、戦略的な思考と柔軟な対応が重要であることを教えてくれます。
綱渡りのような局面でも冷静に玉形をまとめ上げる技術は、将棋の深い戦術的な魅力を感じさせます。
間に淡路
間に淡路とは、棋士豊川孝弘が囲碁から輸入したジョークで、将棋の局面において、ある手を指すためにはその1手だけでは不十分で、複数の手順が必要だが、局面が急を要しているためそのような手を指す余裕がない状況を指します。
この表現は、将棋だけでなく囲碁にも見られる、局面を読む洞察力と戦略的な判断が求められる状況をユーモラスに表しています。
真似将棋
真似将棋は、相手の指し方や陣形を真似て指す将棋のことです。
この戦術は、相手の作戦をそのまま採用することで、対戦相手を混乱させるか、または自身が慣れ親しんだ形に持ち込むために用いられます。
真似将棋は、戦術の理解度を深め、相手の戦術に対する対策を学ぶ機会を提供します。
マムシ
マムシとは、「マムシのと金」という表現からきた略語で、と金を用いて相手の囲いを突破する強力な手法を指します。
この比喩は、と金の攻撃がマムシのように鋭く、相手にとって非常に危険であることを表しています。
マムシ戦法を駆使することは、局面を有利に進めるための戦術的な鋭さを示します。
丸山ワクチン
丸山ワクチンは、ゴキゲン中飛車に対して角交換を行う新手で、棋士丸山忠久が指した手法です。
この戦術は結核治療のワクチンに例えられることからその名がつき、ゴキゲン中飛車に対する有効な対策として知られています。
丸山ワクチンの発案は、将棋戦術の革新と発展に貢献しています。
回る
回るとは、飛車の筋を変えたり、縦横に大きく移動させたりすることを指します。
特に、「飛車の大転回」という表現は、飛車を大きく移動させることを指し、局面に新たな展開をもたらす重要な戦術です。
飛車を回すことは、攻めの機動力を高め、局面を有利に導くための戦略的な手法となります。
回り将棋
回り将棋は、将棋の駒を使用して、双六のように遊ぶユニークなゲームです。
この遊び方は、将棋の駒や盤を使って、全く異なるルールで楽しむことができる点で面白い。
将棋だけでなく、さまざまなゲームで使える駒の汎用性を楽しめる素晴らしい遊びです。
満足
「満足」とは、将棋の局面で形勢がほぼ互角か、やや有利な状態を表す言葉です。
この状況は、不利な状況から回復し、それなりに良い手を指せたときに感じる達成感や満足感を指すことがあります。
満足という感覚は、局面を冷静に分析し、相対的な評価を行うことの大切さを示しています。
見落とし
「見落とし」とは、相手の有効手を見逃してしまい、その結果として局面が不利に進んでしまうことを指します。
この状況は、対局中の集中力や予測の正確さが求められる将棋の難しさを物語っています。
見落としを防ぐには、一手一手を慎重に検討し、相手の可能性を広く想定することが重要です。
見えている
「見えている」とは、次の一手や将来の局面で有効な手があることを認識している状態を指します。
この表現は、将棋における先読みの能力や局面分析の洞察力を示しており、戦略的な思考と計画の重要性を強調しています。
次の手が「見えている」ことは、対局者が有利な展開を見据えている証拠です。
見える
「見える」とは、直感的に、または瞬時に有効な指し手を把握する能力を指します。
この能力は、棋士の経験や知識が豊富であればあるほど発揮されやすく、局面の即時分析や迅速な判断を可能にします。
直感的に手が「見える」ことは、将棋の技術だけでなく、直観力の鋭さも重要であることを示しています。
右玉
右玉は、居飛車将棋において、玉将を盤面の右側に配置する戦術です。
この配置は、一般的な格言「王飛接近すべからず」を逸脱するものであり、玉将と飛車が近接することになりますが、特定の戦術的目的のために意図的に選択されます。
右玉を採用することは、伝統的な戦術に挑戦し、新たな戦略的可能性を探る試みと言えるでしょう。
見せる
「見せる」とは、相手に不快な手順や圧力を与えることが予測される手を指します。
例えば、「次に馬による両取りを見せる」のように使用され、相手にとって厄介な局面を暗示しつつプレッシャーを加える戦術です。
この手法は、相手の心理を揺さぶり、戦略的な優位を築くために用いられます。
水無瀬駒
水無瀬駒は、室町時代の公家、水無瀬兼成の書体で作られた将棋の駒です。
この駒は、その独特の書体が特徴であり、将棋駒の美しさと文化的価値を高めるものとして重宝されています。
水無瀬駒は、将棋の世界における芸術性と伝統の深さを象徴しています。
都詰め
都詰めは、玉将が盤面の中央である5五の位置で詰まされることを指します。
この状態は、玉将が盤面中央で追い詰められるという、比較的珍しい局面を示しており、特異な詰将棋の形として認識されています。
都詰めに至る局面は、将棋の多様な詰め方の魅力を示しています。
妙手(みょうしゅ)
妙手は、非常に優れた、予想外の手を指します。
特に、その手が指されるまで誰も予測できなかった場合に用いられる言葉です。
妙手は、棋士の深い洞察力と独創性を示し、対局における意外な転換点をもたらすことがあります。
このような手が現れる瞬間は、将棋の醍醐味とも言えるでしょう。
未来がない
「未来がない」とは、現局面ではこれ以上の悪化を防ぐことは可能でも、形勢を好転させる展開が望めない状況を指します。
この表現は、敗北に向かっているが一時的に持ち堪えることはできる、という無力感を表しています。
玉の逃げ道が危険であることも「未来がない」状況の一例として挙げられます。
このような状況では、新たな戦略を模索する創造力が求められます。
観る将
「観る将」とは、実際に将棋を指すことよりも、対局を観戦したり、棋士の動きや対局の流れを観察することを楽しむ人々を指します。
この言葉は、将棋が持つ観戦の楽しみや、対局の美学を深く理解している愛好家の存在を示しています。
将棋は、プレイするだけでなく観ることにも大きな魅力がある文化です。
無駄合い
「無駄合い」とは、合い駒をしてもその駒がただで取られ、局面に何の改善ももたらさない状況を指します。
詰将棋では、このような手は手数に含まれず、無駄な試みと見なされます。
無駄合いは、局面を正確に読み、効果的な手を選択する重要性を教えてくれます。
無理筋
「無理筋」とは、正しい手順から逸脱し、相手が適切に対応すれば不利になる手順を指します。
この用語は、無理攻めとほぼ同義であり、根拠の薄い攻めや計算に基づかない戦略を示しています。
無理筋を避け、本筋の手を追求することは、戦術の確実性を高める上で重要です。
無理攻め
「無理攻め」とは、相手に正しく応じられた場合に効果がなく、逆に自分の不利を招く攻めを指します。
無理筋とほぼ同義で、過度に攻撃的で根拠のない戦術を表しています。
無理攻めは、計画的かつ理論に基づいた戦略の重要性を思い起こさせます。
名局
名局は、将棋史に残る著名な対局で、しばしば対局者を代表する一局とされます。
これらの対局は、卓越した戦術や戦略、心理戦が展開され、将棋の魅力を存分に示しています。
名局は後世の棋士や将棋ファンにとって学びとインスピレーションの源であり、将棋文化の宝です。
名誉名人
名誉名人とは、世襲制名人時代に、名人の地位は一人しか存在しなかったため、名人格の実力を持つ棋士に与えられた称号です。
この称号は、その棋士の将棋界における高い評価と尊敬を表すもので、名人に匹敵する技量を持つ棋士への敬意を示しています。
名誉王座
名誉王座は、将棋の王座戦において、囲碁と将棋の主催者が同じである関係上、囲碁界の慣習に倣って「永世」ではなく「名誉」という言葉を使用している称号です。
これは、王座戦における特定の棋士の長年の卓越した実績と貢献を讃えるために贈られます。
名誉NHK杯
名誉NHK杯は、NHK杯テレビ将棋トーナメントで通算10回優勝すると贈られる称号で、タイトル戦の永世称号や名誉称号に類似しています。
この称号は、将棋界での顕著な成果を称え、長年にわたる優れた競技成績を讃えるために贈られます。
目隠し将棋、めくら将棋
目隠し将棋、またはめくら将棋は、棋士が目隠しをして、頭の中で盤面の配置を思い浮かべながら対局する将棋です。
この形式は、棋士の記憶力と想像力を極限まで試すもので、観る者にとっても棋士の驚異的な能力を目の当たりにする機会となります。
目隠し将棋は、将棋の深い思考力と集中力の必要性を象徴しています。
目から火が出る
「目から火が出る」は、自分のミスによって王手飛車取りなどの大きな痛手を受ける状況を形容する言葉です。
「目から火の出る王手飛車」とも表現され、対局者が犯したミスの深刻さや焦燥感を強調しています。
この表現は、将棋において一手の重要性と、ミスの代償がいかに大きいかを象徴しています。
目盛り
目盛りとは、将棋盤に描かれている線のことで、盤面を正確に区切り、各マスを明確にする役割を持っています。
将棋盤の目盛りは、対局の正確性を保ち、プレイヤーが駒を動かす際のガイドとなります。
この細かな部分まで配慮されていることが、将棋の伝統と精密さを物語っています。
面倒を見る
「面倒を見る」とは、相手の攻撃を受け流しながら、攻めが切れるのをじっと待つ戦術を指します。
この表現は、防御戦術の一環として、相手の攻めに対して冷静かつ慎重に対処することの重要性を示しています。
局面を有利に進めるためには、時には相手の攻撃をうまく処理する「面倒見」の良さも求められます。
~を持つ、~持ち、~を持ちたい
「~を持つ」や「~持ち」は、「~の立場で指す」という意味合いを持ち、特定の戦術や陣営を支持する意志を示します。
例えば「振り飛車を持つ」とは、振り飛車戦法の有利性を信じるか、その戦法を好むことを意味します。
この表現は、将棋において多様な戦術やスタイルが存在し、それぞれにファンや支持者がいることを示しています。
もぐる
「もぐる」とは、穴熊囲いを構築する過程で、特に香車の下に玉将を移動させる動きを指します。
穴熊囲いは、玉将を堅固に守る囲いの一つであり、「もぐる」行為はその囲いを作るための重要なステップです。
この戦術は、将棋における防御戦術の深さと戦略的な多様性を示しています。
もたれる
「もたれる」とは、角を敵陣に打って馬を作り圧迫を狙ったり、将来的に厄介な手順を用意しておいて相手に手番を渡し、その応手に応じて局面を進める戦術を指します。
この戦略は、将棋の深い計算と先読み、相手の対応を引き出す巧みな手法を示しており、局面をコントロールする上での洗練された技術です。
持ち駒
持ち駒とは、将棋において相手から取った駒を自分の手番で使用できる駒のことです。
このシステムは、将棋の戦略的な深みを増す要素であり、取った駒をどのように再利用するかが対局の勝敗を左右します。
持ち駒の概念は、リソースの有効活用と戦略的な柔軟性の重要性を教えてくれます。
持ち時間
持ち時間は、将棋の対局において各対局者が一手を指すために与えられた時間を指します。
この制限時間内に最善の手を考え出すことは、将棋の対局における基本的なルールの一つであり、時間管理能力と集中力のバランスが重要な要素となります。
持ち時間を有効に使うことは、精神的なプレッシャーに対処する力を養うことにもつながります。
元奨
元奨は、奨励会にかつて在籍していたがプロ棋士になることなく退会した人々を指す俗称です。
これらの人々は、アマチュア将棋界で高い技術を持つプレイヤーとして活躍し、奨励会での経験が彼らの技量を高める重要な要因となっています。
元奨励会員がアマチュア大会で活躍することは、プロへの道を進まなかったものの、将棋に対する情熱と才能を持ち続けている証です。
模様
模様は、将棋の局面において、特定の戦型に進む可能性を示唆する全体的な様子や流れを指します。
例えば「矢倉模様」とは、相矢倉に進みそうな局面を意味し、将棋の序盤戦でどのような展開が期待できるかを予測する際に用いられます。
「模様が悪い」という表現は、形勢が不利な状況を示す際に使われ、局面を正確に評価する洞察力が求められます。
盛り上げ駒
盛り上げ駒とは、彫埋め駒の表面に漆を重ね塗りして、文字を立体的に浮き立たせた駒です。
この加工により、文字が盤面から美しく際立ち、視認性が高まるとともに、駒自体の美術的価値も増します。
盛り上げ駒は、将棋駒の製作における職人技の粋を集めた逸品であり、将棋を愛する人々にとっては、ただの道具以上の特別な存在です。
この駒を使うことで、対局の瞬間瞬間がより一層特別なものになります。
や行
矢倉
矢倉は、江戸時代から存在する囲いで、主に相居飛車の局面でよく見られる戦型です。
特に、双方が矢倉を採用する「相矢倉」は、バランスの取れた攻防が特徴で、戦術の深さを楽しめます。
矢倉は、伝統的な戦型の中でも特に人気があり、その変化に富んだ展開は、将棋の奥深さを象徴しています。
ヤスリ攻め
ヤスリ攻めは、と金を使って相手の囲いを徐々に削り取るような攻め方を指します。
この攻め方は、ヤスリで削るようにじわじわと相手の防御を崩していくことから名付けられました。
ヤスリ攻めは、忍耐と粘り強さを要する戦術であり、相手の囲いを確実に崩すための効果的な手法です。
槍
槍は、香車の通称です。その直進する性質から槍に例えられ、将棋の駒の中でも特に攻撃的な動きをする駒として知られています。
槍は、敵陣深くまで突き進むことができ、局面に大きな影響を与えることがあります。
夕食休憩/夕休
夕食休憩または夕休は、持ち時間の長い順位戦や竜王戦において、対局が夜まで続くため設けられた公式の中断時間です。
この休憩時間は、対局者が食事や休憩を取るためのもので、対局中の精神的、肉体的な負担を軽減する役割を果たします。
夕食休憩は、長時間にわたる緊張感のある対局におけるリフレッシュの機会として、また戦略的な休憩としても機能します。
優勢
優勢とは、形勢判断において相手よりも明らかに有利な状態を指します。
「有利」よりも強い意味合いを持ちながらも、「勝勢」には及ばない程度の優位を示します。
優勢な状態は、対局において勝利に向けての確かな足掛かりとなり、その優位をどう生かすかが勝敗の鍵を握ります。
有望
「有望」とは、コンピュータの評価では互角かやや有利であるものの、人間の直感では一方が優位にあるように感じる局面や選択肢を指します。
特に定跡や中盤の展開において使用されるこの表現は、局面のポテンシャルや将来性を感じさせるものであり、有力な手順への期待を示しています。
例えば、「▲5五飛でさばいてこれなら有望だね」という言葉には、その手が今後の局面にどのように作用するかに対する楽観的な見方が込められています。
有力
「有力」とは、現状維持か有利な形勢を作り出すことができる手の中から、特に妥当性が感じられる候補手を指します。
序盤から中盤にかけての局面で使われることが多く、その選択肢が将来にわたって好結果をもたらす可能性が高いことを示唆します。
有力な手は、局面の流れを自分のものにするための重要な一手となり得ます。
ゆっくりさす
「ゆっくりさす」とは、急いで相手玉に対する攻撃を仕掛けるのではなく、局面をじっくりと作り上げる手法を指します。
玉の周りを整備したり、駒を引きつけたりすることで、より確実な攻めを目指します。
この戦術を好む棋風は、忍耐力と戦術的な深さを象徴しており、将棋の奥深さを感じさせます。
指運
「指運」とは、特にピンチの局面で反射的に指される手の運命や成否を示す言葉です。
良い指運があれば、危機を乗り越えることができますが、そうでない場合は形勢がさらに悪化することもあります。
指運は、将棋が持つ偶然性とプレイヤーの直感の重要性を示しています。
緩める
「緩める」とは、相手に対してわずかに手加減をすること、あるいは直接攻撃ではなく、次の一手でより強力な攻撃を狙うための準備として、一見ゆるやかに見える手を指すことを指します。
指導対局などでよく見られるこの行為は、対局における心理戦や戦略の深さを象徴しています。
欲張る
欲張るとは、将棋の局面で通常考慮される有利な手を避け、さらに大きな利益を追求するために無理やり手を伸ばすことです。
「欲張った指し方」は、短期的には大きな利益をもたらす可能性があるものの、リスクも伴うため、慎重な判断が必要とされます。
この戦術は、勇気と計算、そして時には大胆な挑戦の精神を象徴しています。
横利き
横利きとは、飛車や竜が横方向に及ぼす利きのことを指し、特に遠隔地からの影響力を示します。
この利きは、将棋盤上での戦術的な位置取りにおいて重要な役割を果たし、玉の安全性を高めたり、敵陣への圧力を加えたりするのに使われます。
「横利き」の存在は、局面を読む際に飛車や竜の動きをより戦略的に考える必要があることを示しています。
横駒
横駒は、横に動ける駒、特に金や飛車を指します。
これらの駒は、将棋の戦略において横方向の動きを利用して相手の攻撃を防いだり、反撃の機会を伺ったりする際に重要な役割を果たします。
横駒の運用は、盤上での駒の柔軟な動かし方と戦術的な多様性を示しています。
横歩取り
横歩取りは、相手の角道を開けた際に突き出された歩を、飛車を活用して横方向に移動させて取る戦術を指します。
この手法は、相手の飛車先を交換し、飛車の進出を促すことで、局面に大きな変化をもたらす可能性があります。
横歩取りは、飛車の活用と局面制御の重要性を教えてくれます。
四段
四段は、プロ棋士の地位を意味する段位であり、アマチュア将棋においても同様の段位が存在しますが、プロとアマチュアでは段位の基準が異なります。
「アマ四段」とは、アマチュアレベルでの高い技術を持つプレイヤーを指す表現です。
四段の棋士は、将棋界において一定の技術と経験を有しており、その地位は継続的な努力と成長の結果です。
読み上げ
読み上げとは、テレビの将棋対局や公開対局で、対局者が指した手を観客や視聴者に伝える行為です。
このプロセスは、観戦者が対局をより深く理解し、フォローしやすくするために重要です。
読み上げは、将棋の魅力を伝え、対局の緊張感や戦術的な動きを視覚的にではなく、言葉を通じて共有する方法です。
読み抜け
読み抜けは、一般的に多くの人が読むことができるとされる手を見落とすことを指します。
これは、特定の手の忘却や見落としにより発生し、妙手を見落とす場合とは異なります。
読み抜けは、対局者が時に予期せぬ簡単なミスを犯すことがあることを示し、将棋がいかに複雑で挑戦的なゲームであるかを物語っています。
読む
「読む」とは、将棋において自分の次の手や相手の可能な応手を頭の中で想定することです。
このプロセスは、対局の流れを予測し、戦略を立てる上で不可欠であり、将棋の技術的な側面だけでなく、精神的な深さも示しています。
正確な読みは、局面を有利に進めるための鍵となります。
読みが合わない
読みが合わないとは、対局者間の棋風の違いから、互いの手の予想が一致しない状況を指します。
この現象は、将棋が持つ多様性と奥深さを示しており、自分にとって自然な手が相手にとって意外な手である場合やその逆が発生することを意味します。
読みが合わない状況は、対局の予測不可能性を高め、戦術の駆け引きをより面白くします。
読み筋
読み筋とは、対局中に頭の中で計画する手順や戦略の流れを指します。
これは、将棋の局面をどのように進めていくかを予測するための思考プロセスであり、対局者の戦略的な考え方や計画を反映しています。
正確な読み筋を持つことは、対局において優位に立つための重要な要素であり、深い洞察力と経験が求められます。
読み切る
読み切るとは、将棋において考え得る全ての手順を予測し、完全に理解することを指します。
この能力は、対局における精度の高い戦略立案と、不測の事態に対応する能力を示しており、棋士の深い洞察力と集中力の証です。
読み切ることができれば、対局の流れを大きく左右することができます。
寄せる、寄せ
寄せる、または寄せとは、相手の玉を詰めるために必要な手順を進めること、必至をかけること、または相手の玉の逃げ道を塞ぐような形を作ることを意味します。
「金を自玉に寄せて守りを補強する」という使い方もあり、これは守りを固めるために駒を自玉に近づけることを指します。
寄せは、対局の勝敗を決定づける重要なプロセスです。
米長玉(よねながぎょく)
米長玉は、米長邦雄九段が用いたとされる、王将を端筋に配置する指し方です。
この配置は、王将が詰むまでの手数を一手稼ぐことができる独特の防御手法であり、米長邦雄九段の創意工夫を示す例として知られています。
米長玉は、将棋の戦術における革新的な発想の一例です。
呼び込む
呼び込むとは、相手の攻め駒を自分の陣地に引き込むことを指します。
この戦術は、相手の攻撃を受け止めることを意図している場合に有効ですが、意図せず攻め駒を引き込んでしまった場合は、自分の陣地に不利な状況を作り出すことになり、戦術的なミスとされます。
呼び込みの成功は、局面の流れを自分に有利にする鍵となることがあります。
寄り筋
寄り筋とは、相手の玉が詰められる可能性が高い局面や手順を指す言葉です。
これは「寄せる」動作に直結する概念で、対局者が詰将棋に向けて局面を進める際に考慮する重要な要素です。
寄り筋を見極める能力は、詰め将棋への道を見つけ出すために必要な洞察力を示しています。
寄る
「寄る」とは、将棋において玉、飛車、金、または成駒を右隣や左隣に動かす行動を指します。
これにより、玉の安全性を高めたり、攻撃的な位置に駒を配置して局面に影響を与えたりすることができます。
また、玉が寄せられた状態になることも「寄る」と表現され、相手からの圧力や攻撃に直面している状況を示します。
この動きは、局面の安定性を高めるため、または戦略的優位を確保するために重要です。
四枚落ち
四枚落ちとは、上手(力の強い側)が大駒(飛車や角)と香車を含む4枚の駒を落として始める駒落ち戦です。
この形式では、上手の盤上には王と金、銀、桂、歩のみが配置され、下手(力の弱い側)に対するハンディキャップとなります。
四枚落ちは、力の差を均等にするための方法として用いられ、より公平な対局を実現します。
四手角
四手角とは、主に相居飛車の局面で角を飛車先に移動させる際に4手かかることからこの名前が付けられました。
たとえば、先手なら▲2六、後手なら△8四に角を進める動きがこれにあたります。
この手順は、角の活用と局面の戦略的展開において重要な役割を果たし、将棋の戦型の中で特定の局面を作り出す一因となります。
ら行
楽敗
楽敗は、「楽勝」の反対で、自分があまりにも簡単に負けてしまった局面を指します。
感想戦で「これは楽敗だな」と言う場合、その対局がいかに自分にとって不利なものであったかを軽妙に表現します。
この用語は、敗北を冷静に受け入れ、次への学びとしていく態度を示す際に使われます。
ライン
ラインは、将棋における利きの範囲を指す言葉で、「筋」と同義ですが、特に角に関連して使用されます。
例えば、「いつでも角のラインがあるのでこびんを開けたくない」という使い方では、角の利きが戦略上重要であることを示しています。
この表現は、将棋の局面において特定の駒の影響力を理解し、活用する重要性を強調します。
楽観する
楽観するとは、将棋の対局中に将来の局面について前向きに判断し、その結果としてあまり慎重にならないことを意味します。
例えば、「二枚替えなので楽観して短時間で着手したが、存外互角に近かった」という場合、先行きを過度に楽観した結果、予想外の展開になったことを示しています。
楽観する態度は、局面判断において適切なバランスを見つけることの大切さを教えてくれます。
乱戦
乱戦は、早い段階から定番の戦術形式を外れた将棋のことを指します。
この種の局面は、予測が難しく、双方の棋士が持つ創造力や即興の戦術が試される場となります。
乱戦は、将棋のダイナミズムと多様性を象徴しており、観戦者にとっても予測不能の展開が楽しめる魅力的な局面です。
乱暴
乱暴は、強引な攻め手や、一見好手ではないが、具体的な応手を間違えると不利になるような手のことを指します。
この言葉は、攻め手がある程度のリスクを伴いつつも、相手にとっては対応が難しい局面を作り出す戦術の巧みさを示しています。
乱暴な手は、局面に新たな動きをもたらし、対局を一層興味深いものにすることがあります。
力戦
力戦は、定跡や過去の実戦譜を離れて、双方の実力と直感によって勝負が決される局面を指します。
この戦い方は、プレイヤーの創造力と瞬間的な判断力が試され、対局をよりダイナミックで予測不可能なものにします。
「定跡から早々に離れ、力戦模様になった」という場合、戦いは純粋にプレイヤーの技術と戦略に委ねられています。
龍王(竜王)、龍馬
飛車や角行が敵陣に進入して成ることにより、「龍王」と「龍馬」へと変化します。
飛車が成ると龍王、角行が成ると龍馬と呼ばれ、それぞれが略して「龍」と「馬」で表されます。
これらの成駒は、将棋のゲームにおいて大きな転換点となり、強力な攻撃力を持つことからゲームの流れを大きく変えることがあります。
流行形
流行形は、プロの公式戦において一時期に多くのプロ棋士が採用している序盤の展開や戦型を指します。
将棋界では、特定の戦型が一定期間流行することがあり、その流行している戦型を流行形と称しています。
これは、プロ棋界の戦術や戦略が常に進化していることを示しており、新しいアイデアや戦術が定期的に登場することを意味します。
菱湖
菱湖は、将棋駒の書体の一つで、幕末の三筆と称された巻菱湖の字体に基づいています。
この書体は、駒の文字に特有の美しさと読みやすさを提供し、将棋の文化的側面と芸術性を際立たせます。
駒の書体は、将棋を物理的なゲームだけでなく、文化的な遺産としても楽しむことができる要素の一つです。
両王手
両王手とは、飛車や香車と角の二つの駒を使って同時に王手をかける状態を指します。
この状況では、相手の玉は合い駒を使って対処することができず、逃げるしかありません。
逃げ場がなければ、その場で詰みとなります。
両王手は、戦術的な洞察力と厳密な計算を必要とする高度な手法であり、局面を劇的に変化させる力を持っています。
両取り
両取りとは、一つの駒が相手の二つの駒を同時に脅かす状況を指します。
この戦術は、相手にとって厄介な選択を強いることができ、局面の流れを変える力を持っています。
両取りを行うことができれば、相手はどちらかの駒を失うことになり、有利な展開を導くことができます。
リフォーム
リフォームは、玉の囲いを途中で変更することを指します。
例えば、矢倉から穴熊に変えたり、美濃から銀冠に変えたりすることが含まれます。
この戦術は、局面の変化に対応する柔軟性を示し、より強固な防御態勢を築くために用いられます。
レーティング
レーティングは、将棋を含む多くのゲームやスポーツで個人の実力を数値で表すシステムです。
この数値は、対局の勝敗に基づいて変動し、プレイヤーの相対的な強さを示す指標となります。
レーティングシステムは、フェアなマッチングを促進し、プレイヤーが自身の進歩を追跡できるようにします。
劣勢
劣勢は、対局において不利な状況にあることを指しますが、まだ敗北が確定したわけではありません。
この状態では、巧妙な戦略や相手のミスを利用して逆転を目指すことが重要です。
劣勢からの回復は、プレイヤーの粘り強さと戦術的な洞察力を試す機会となります。
連続王手の千日手
連続王手の千日手は、同じ手順を繰り返して局面が変わらない千日手の特殊な形態で、王手を連続して行うことは禁じられています。
このルールは、ゲームを公平かつ合理的に進行させるために設けられており、無限にゲームを引き延ばすことを防ぎます。
この規則により、将棋はより戦略的で意味のあるゲームとなっています。
連打の歩
連打の歩は、持ち駒の歩を利用して敵駒の頭に次々と打ち、相手の駒を引き上げる手法です。
これにより先手を確保し、攻めの基点を作り出します。この戦術は、局面を積極的にコントロールしようとする意欲的な姿勢を示しています。
六枚落ち
六枚落ちとは、上手側が駒を六枚落として対局を始める駒落ち戦を指します。
この形式では、上手は玉、金、銀、歩のみを持って対局を開始し、下手に対して相応のハンディキャップを与えます。
これは、両者間の技術差を補正し、公平な対戦を促すための一つの方法です。
ロケット
ロケットとは、香車や飛車を縦に連ねて使用する配置を指し、駒が2つ重なる場合を2段ロケット、3つ重なる場合を3段ロケットと呼びます。
この配置は、攻撃力を集中させる戦略であり、相手に対する圧倒的な攻撃力を示します。
~流
「~流」は、棋士の特徴的な棋風や指し手を表す接尾語です。
また、棋士の個性や特徴を称えるあだ名としても用いられます。
例えば「激辛流」「鉄板流」などは、それぞれの棋士の戦術やスタイルを象徴する表現であり、将棋界における多様性と創造性を反映しています。
論外
論外は、考えられないほど不適切な指し手を指摘する際に用いられる言葉です。
島朗が流行らせたこの表現は、将棋における戦術的な判断や選択肢の中で、明らかに受け入れがたい手を強調するために使用されます。
わ行
分かれ
分かれは、将棋における手順が一段落して局面が落ち着いた状態を指します。
例えば、「このやりとりは互角の分かれ」という表現では、双方のプレイヤーが一時的に平衡状態にあることを示しています。
このフェーズは、次の戦略を練るための重要な瞬間です。
渡せる、渡せない
渡せる、渡せないとは、終盤において相手に取らせる駒が、自玉の詰みにつながるかどうかを慎重に検討する状況を指します。
「~を渡せない」とは、その駒を相手に渡すことがリスクにつながる場合を、一方で「~を渡せる」とは、その駒を取らせても安全、または有利な状況を維持できる場合を意味します。
この判断は、局面の勝敗に直結するため非常に重要です。
技がかかる
技がかかるとは、両取り、さばき、敵陣の突破、駒の素抜きなどの手筋を成功させて、局面を有利に進めることを意味します。
この表現は、戦術的な巧みさや緻密な計算が光る瞬間を称えるもので、将棋の奥深さと醍醐味を象徴しています。
割り打ち
割り打ちとは、銀や角を利用して特定の配置にある二つの駒に対して両取りを仕掛ける戦術です。
この手法は、相手の駒の配置を巧みに利用して一手で大きなアドバンテージを得ることができます。
特に銀を使った場合を割り打ちの銀、角を使った場合を割り角と呼び、戦術の多様性を示します。
腕力
腕力は、力戦になった際に発揮される棋力のことを指します。
この用語は、定跡を離れて直接的な実力勝負になった場合に、プレイヤーの真価が問われる状況を示しています。
腕力が高いプレイヤーは、直感的な判断や柔軟な思考を駆使して局面を有利に導く能力があるとされます。
終わりに
将棋用語集はいかがだったでしょうか?
ここで紹介した将棋用語をマスターすれば
テレビの将棋解説も抵抗なくすんなり頭に入るはず!
将棋を楽しみたい人は、ぜひこの記事をお役立てくださいませ